福利厚生をアウトソーシングするメリットやデメリットを解説!
福利厚生は企業に所属する従業員にとって重要な要素です。充実した福利厚生はモチベーションを維持する理由になりますし、会社に対する帰属意識も高まります。そんな福利厚生も時代の変化によってアウトソーシングする気ぎぃようが増えました。
この福利厚生をアウトソーシングすることのメリットやデメリットを解説します。また、福利厚生をアウトソーシングする際のサービス利用方法やサービスの内容についてまとめているので参考にしてください。
福利厚生とは?
企業から従業員へ支払われる給与以外の報酬のこと
そもそも福利厚生というのは、企業から従業員に支払われる給与以外の報酬のことです。通勤費や住宅や社宅、医療や保険などが福利厚生に含まれます。企業によって福利厚生のサービス内容は異なっており、それを利用するかどうかも個人の自由です。
福利厚生は「法定福利」と「法定外福利」に大別される
福利厚生には2つの種類が存在します。福利厚生は法律で規定される「法定福利」と企業が独自に設定する「法定外福利」があり、それぞれ内容が異なるので注意しましょう。
法定福利に含まれるのは健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などです。法定外福利は社員寮の提供、育児支援、健康診断の実施などが代表的です。また、保養所や余暇施設の利用、社内部活動への補助金支給なども法定外福利に含まれます。
大手や中小企業などの企業規模によって法定外福利のサービス内容は異なるので、すべての企業が充実した内容で行っているとはいえません。そういった点を補ってくれるのがアウトソーシングなので導入を検討しましょう。
福利厚生費の現状
福利厚生は企業にとって大きなコストがかかる制度です。事業主が労働を提供する従業員やその家族の健康や生活の福祉を向上させる目的がありますが、中小企業などではそのコスト負担が問題になっています。
経団連によれば、従業員に支払われる月額の現金給与総額の約30%が福利厚生費になる、というデータも公表されており、アウトソーシングを導入する企業が増えているのが現状です。
福利厚生アウトソーシングとは?
福利厚生サービスを外部の専門企業に委託する運営方法のこと
外部の専門業者に委託することをアウトソーシングといいます。そのため、福利厚生アウトソーシングは企業の福利厚生サービスを外部の専門業者に委託する運営方法です。
多くの福利厚生アウトソーシングは会員制サービスの形式を取っています。外部業者のサービスを利用し、自社の従業員が満足できる環境を整えましょう。
福利厚生アウトソーシングが誕生した背景
そもそも福利厚生アウトソーシングのサービスが市場規模を拡大しているのは、バブル崩壊が関係しています。それまでは大手企業を中心に社宅や社員寮、保養所を中心に様々な福利厚生が自社で運用されていました。
しかし、バブル崩壊によって企業は福利厚生面でもコスト削減を避けられなかったのです。その代わりに低価格で福利厚生制度を運用できるアウトソーシングが市場規模を拡大しています。
福利厚生アウトソーシングの市場規模
福利厚生の市場規模は拡大しており、経団連の発表によると2015年度の段階で3割強の会社が福利厚生アウトソーシングを利用しています。今後も市場規模は拡大することが予想されており、メリットとデメリットを把握しながら福利厚生アウトソーシングを導入していきましょう。
サービスの種類①パッケージプラン
アウトソーシングサービスを利用する上で、2つのプランを紹介します。基本的にアウトソーシングは会員制サービスの形式が多く、大きく分けて2種類のサービスプランが存在するので、自社にあわせた形を利用しましょう。
パッケージプランは福利厚生サービスを定額で利用できるプランです。従業員が自分が利用したいサービスや施設を選び、何度でも会員価格で医療できるのが特徴になります。
このパッケージプランは福利厚生サービスの利用率が高い企業におすすめです。また、幅広い福利厚生サービスが用意されているのがメリットになります。費用は従業員一人あたりの金額を従業員数でかけた費用をアウトソーシングサービスを提供している企業に支払う形です。
サービスの種類②カフェテリアプラン
カフェテリアプランはポイント制のサービスプランになっています。企業が従業員にポイントを付与し、それを自分や家族で利用した福利厚生サービスに使用する形です。そのため、このサービスは「選択型福利厚生制度」とも呼ばれています。
パッケージプランと比較すると、カフェテリアプランは従業員のそれぞれのニーズにあわせて利用できるのがメリットです。こういった形でアウトソーシングのサービスは市場規模を拡大しているので、メリットやデメリットを確認して導入を検討しましょう。
福利厚生をアウトソーシングするメリット
メリット①豊富なサービスを社員に提供することができる
市場規模が拡大している福利厚生のアウトソーシングですが、サービスを利用する上でのメリットを確認してください。アウトソーシングサービスを利用することによって、豊富なサービスメニューを利用できるようになります。
従業員にとって福利厚生が充実していることはモチベーションを維持することにつながるので、サービスメニューが豊富なことは重要な要素です。アウトソーシングではサービスを提供するアウトソーサーによりメニューが異なるので、自社の従業員が利用しやすいものを選びましょう。
メリット②経費削減に繋がる
中小企業にとって福利厚生のコストは大きな課題です。そこでアウトソーシングを活用することによって経費の削減につながります。これはアウトソーシングを運営する企業は会員数が多ければ多いほど、サプライヤーから割引が効くようになるのです。
大手のアウトソーシング運営会社であれば割安でサービスを提供しているところが多くなるので、結果的に福利厚生にかかる費用を削減できるようになります。
メリット③人事部の業務削減や効率化にも繋がる
人事部の業務削減や効率化につながる点もメリットです。こういったサービスを管理することは非常に手間がかかるため、外部サービスを利用することは業務削減につながります。また、利用を申請する場合もインターネットなどを活用することで、提供企業が管理してくれるのでおすすめです。
メリット④中小企業でも福利厚生を充実させることができる
コスト削減を行えるため、中小企業でも利用できるのは大きなメリットといえるでしょう。アウトソーシングサービスの利用で大手企業同様の福利厚生を受けさせられるため、従業員の満足度や帰属意識も強くなります。
メリット⑤すぐに利用を開始できる
サービスを利用するために必要なことは、会員企業として契約すればOKです。開始するまでの期間も短期間なので、自社の制度から切り替えるときもスムーズなのもメリットになります。こういったメリットが多数あることが、市場規模を拡大している理由です。
福利厚生をアウトソーシングするデメリット
デメリット①サービスを使わなくてもコストが発生する
どのサービスにもいえることですが、利用しない場合でも契約が続いていればコストが発生します。近年はサブスクリプションサービスが市場規模を拡大していますが、音楽や映画などを見なくなっても、そのまま契約料金を支払続けている人も多いでしょう。
同様にこういったサービスでも毎月企業は契約金を支払わなくてはなりません。重要なことは従業員のニーズに合わせた会社と契約しないと、サービスを利用する人が少ないのにコストだけがかかるので注意が必要です。
デメリット②利用手続きが複雑
企業側とサービス提供側の手続きはそれほど面倒なことはありませんが、従業員側の利用手続きが複雑になる場合があります。必ずしも複雑になるわけではありませんが、サービスを変更した当初は手続きを新たに行う必要があり、そのことで利用率が下がるかもしれません。
企業側は新しいサービスのメリットをしっかりと説明して、その良さを従業員に理解してもらうように心掛けましょう。
デメリット③ニーズからかけ離れてしまうことがある
パッケージプランを利用する場合、サービスの内容を丁寧に確認してください。提供されているサービスが利用可能なエリアが少ない、利用できる内容が限られている、という形でニーズからかけ離れていることがあるためです。
従業員の不信感にもつながるため、サービス内容は比較したり、ランキングを参考にしたりして選びましょう。また、カフェテリアプランを採用することでデメリットを解消しやすくなります。
福利厚生アウトソーシングサービスの導入手順
導入手順①導入する目的を確認する
では、福利厚生アウトソーシングを導入する手順を確認しましょう。福利厚生アウトソーシングを導入する際、最初に切り替えるための目的をはっきりとさせてください。既存の自社のシステムから切る変える目的を明確にしないと、従業員にとってめんどうな手続きになるだけです。
目的としてはコスト削減、満足度向上などが挙げられます。また、福利厚生を充実させることで求職者が増える可能性もあるので採用力の強化にもつながるでしょう。
導入手順②現状を確認する
福利厚生アウトソーシングを導入するために、現在のシステムを再確認しましょう。現行制度の利用状況を把握することで、変更する必要性を見いだせます。利用状況、利用者数、コスト、利用方法の整理、満足度を調査してください。
また、現行制度の不満やニーズをしっかりと聞き取りを行うことが求められます。こういった声を収集し、精査することで正しいサービスを選択できるからです。市場規模が拡大している福利厚生アウトソーシングですが、ランキングなどの順位だけでなく、自社に合わせたものを採用することが大切です。
導入手順③サービス選定を行う
現行からの改善や要望ポイントをあぶり出せたら、サービスの選定に進みましょう。福利厚生アウトソーシングのサービス情報やランキング情報などは、ネットで様々紹介されています。
選定ポイントは申請から利用までの流れのスムーズさを含め、コストパフォーマンスと自社の利用目的に当てはまるものを選ぶことが大切です。利用率が高くなるようなサービスを選ぶようにしましょう。
導入手順④アウトソーシング契約を締結する
自社にマッチする福利厚生アウトソーシングを見つけられたら、契約締結を行います。どのようなサービスがあるかを従業員に知らせることも仕事です。担当者とパンフレットなどを活用し、社内に新しいサービスを告知してください。
導入手順⑤サービスの見直しを定期的に行う
導入したサービスはそれで終わりではなく、継続して見直しを行っていきましょう。従業員の利用率などを確認し、場合によってはアウトソーサーを見直すことも必要です。
また、利用率に関するデーターなどはアウトソーサーがレポートしてくれるのが一般的です。担当者とより良いサービスを目指して話し合いも継続していきましょう。
福利厚生アウトソーシングサービスの選び方
選び方①社員のニーズで選ぶ
改めて福利厚生アウトソーシングの選び方のポイントをまとめたのでチェックしてください。一番重要なことは従業員のニーズで選ぶことです。事前にアンケートなどを行って、福利厚生として求めているニーズを把握してください。
選び方②使いやすさで選ぶ
サービスが充実していても使いにくいものでは利用率が伸びません。そのため、従業員が利用するための仕組みが煩雑でないものがおすすめです。市場規模が拡大しているサービスなので、多種多様なアウトソーサーが存在します。
その中で自社の従業員が利用しやすいものを選んで、継続して活用してもらえるものにしましょう。そのために、アウトソーサーの利用率や継続率が高いところを探すことが必要です。単純なコスト削減ではなく、利用してもらえるサービスを選択しましょう。
選び方③会員数の多さで選ぶ
アウトソーサーを選ぶときに会員数やランキングなどを参考にしましょう。市場規模が拡大したこともあり、アウトソーサーを選ぶときに迷う人も多いです。一般的には登録会員数が多いほうが割引率が高くなりやすいため、コスト削減に向いています。
同時にサービスを継続利用している可能性が高く、信頼度や充実度が高い証にもなります。もちろん、自社の従業員が求めるサービス内容かは精査する必要があるでしょう。その中で、会員数の多さも比較材料にして適切なアウトソーサーを選択してください。
選び方④サポート体制の有無で選ぶ
システムを新しく導入する中でサポートが充実していることで助けられることも多いです。そのため、アウトソーサーによる導入や運用に関するサポート体制も重要な要素になります。サポート体制が充実していれば、担当者の負担を軽減することができ、業務効率化につながるでしょう。
そして、実際に福利厚生アウトソーシングを開始後にアフターサポートを行ってくれるかも確認してください。従業員により活用してもらうためのアドバイスをもらったり、周知活動に強力してもらったりしましょう。このサポート体制の有無で導入のしやすさが大きく異なってきます。
選び方⑤分析機能の有無で選ぶ
継続してサービスを利用するかを判断するために、分析機能があるところを選ぶのもおすすめです。利用者に関する情報を見える化することで、判断材料になるのでこちらに関してもチェックして選択しましょう。
福利厚生アウトソーシングサービスの人気10選
第10位:CLOUDMEAL
CLOUDMEALは株式会社ダイナプティコが運営する、バーチャル社員職食堂サービスです。600以上のレストランのメニューから自由に食事を選び、指定の場所に配達してもらえます。ウーバーイーツなどが流行っていることもあり、こういったサービスは喜ばれるでしょう。
第9位:ベネフィットステーション
ベネフィットステーションでは健康支援や教育や研修支援が受けられます。非常に多くのサービスを提供しており、仕事と育児の両立支援も行っているので、様々な状況にあわせた福利厚生支援が受けられるのがメリットです。
第8位:WELBOX
珍しい内定者向けサービスも用意されているアウトソーシングです。宿泊施設や独自施設、人間ドックなどのサービスを割引で利用できるのがメリットになっています。新規人材採用を促進したい場合に最適でしょう。
第7位:CaSy
家事代行サービスを提供してくれるのがCaSyです。料理や掃除の代行サービスを行っているので、一人暮らしや育児で忙しい従業員から喜ばれます。市場規模が拡大しているサービスの中で、比較的新規参入のサービスなので注目です。
第6位:ネスカフェアンバサダー
ネスレ日本株式会社が提供するサービスで、職場でネスレのコーヒーマシンを無料で利用できるサービスです。本体購入費用はかからないのが特徴になっており、4種類のマシンから選ぶことができます。自社の従業員がコーヒー好きが多いなら最適なサービスです。
第5位:オフィスおかん
食の福利厚生サービスとして、オフィスに冷蔵庫や専用の自販機を設置するオフィスおかんもおすすめです。管理栄養士が監修したお惣菜が用意されており、食を中心に健康のサポートを行ってくれます。
第4位:セラヴィリゾート泉郷
全国にあるリゾート施設を利用できるため、非常に人気が高いサービスです。契約団体も430団体以上になっており、従業員のニーズとマッチする場合はベストな選択肢になります。
第3位:ライフサポート倶楽部
幅広い年代のニーズに対応している福利厚生アウトソーシングです。出産や育児、住宅購入や介護に関するサービスが用意されています。会社で簡易採血を行って、看護師がその場で健康チェックを行ってくれるサービスは珍しいので検討材料にしてください。
第2位:福利厚生倶楽部
中小企業に人気なのが福利厚生倶楽部です。契約者の7割以上が中小企業になっており、低コストで満足度の高いサービスが提供されています。大企業並の福利厚生を実現したい際に検討しましょう。
第1位:えらべる倶楽部
JTBベネフィット株式会社が運営していることもあり、旅行関係のサービスが充実しています。レジャーやグルメ、映画やショッピングなど、カテゴリの充実度はトップクラスです。
福利厚生アウトソーシングの企業事例
企業事例①平和精機工業株式会社
動画撮影用の機材メーカーである平和精機工業は、社員数が約30名の会社です。スキルの高い人材を維持するために、介護離職などを防ぐことが課題になっていました。
その中で福利厚生を充実させ、従業員を長く働ける環境にすることを目標にして、福利厚生アウトソーシングを導入しました。同時に人事制度の見直しも行っており、人材難の時代に有能な人材の定着率をアップすることに成功しています。
企業事例②From One’s Heart株式会社
From One’s Heart株式会社は立川ワシントンホテルを運営している企業です。50名ほどの従業員がいて、働き方も多種多様でした。そのため、福利厚生に求めるものも様々で自社で全員を満足させることが難しかったのです。
そこでアウトソーシングを導入し、正社員登用の促進と採用力アップの目標も達成しました。このように大手から中小企業まで、様々な企業がサービスを活用し、自社の活性化につなげているので参考にしてください。
福利厚生をアウトソーシングして企業の効率化を図ろう!
福利厚生アウトソーシングについて解説しました。自社で充実した福利厚生を維持できない場合におすすめな方法です。導入する際は従業員のニーズをしっかりと調査し、利用しやすいサービスを採用しましょう!