アシミレーションの意味や効果的なやり方を解説!
新しいリーダーや上司が組織に配属されたとき、少しでも早くお互いを理解し、意思疎通することが求められます。そういった組織内のコミュニケーションに関係するアシミレーションの考えについて学びましょう。アシミレーションを効果的に取り入れるやり方を参考にしてください。
アシミレーションとは?
組織開発の手法のひとつ
アシミレーションは「融和」や「同化」を意味する言葉です。ビジネスの場では、部署における上司と部下、プロジェクトにおけるリーダーとチームメンバーなどが、相互理解を深めて、スムーズに結束する組織開発を意味します。
このアシミレーションが円滑に行えるためには、ファシリテーターを含め、様々なテクニックを活用しましょう。スピードが求められる現代社会において、組織開発を迅速に行うためにアシミレーションを導入してください。
スキップレベルとの関連性
アシミレーションを活用する上ではスキップレベルという考え方も重要です。スキップレベルは、チームリーダーのさらに上位のリーダーや上司とチームメンバーが意見交換を行い、その結果をチームリーダーにフィードバックすることを意味します。
リーダーの上司とチームメンバーが交流することで、課題などを把握して適切に対処することが可能です。スキップレベルは越権行為や直属の上司がやりにくくなる、という点に気をつけて活用しましょう。
アシミレーションの活用シーン
新しいリーダーが就任したとき
アシミレーションの活用シーンを確認してください。アシミレーションが一番重要になるのは、組織に新しいリーダーが就任したときです。組織に新しく参加したリーダーは自分の考えやビジョンをメンバーと共有することを望みます。
しかし、メンバーのことをまだ把握していないこともあり、リーダーは様子見をするでしょう。しかし、こういった様子見の時間が企業にとって機会損失につながってしまうのです。技術革新などによって、現在のビジネスはスピードさが求められています。
同時に、リーダーは以前の組織におけるやり方や常識などを持ち込もうとしますが、これに対して新しいメンバーが受け入れてくれるとは限りません。こういった場合にアシミレーションを活用すると、組織の理解や結束力を高められるのでおすすめです。
企業のビジョンを浸透させるとき
企業のビジョンを浸透させたいときにもアシミレーションを活用しましょう。このときは経営陣と社員を一つのチームとして、アシミレーションを行います。
経営陣が掲げるビジョンや経営理念は、なかなか現場の社員に浸透しにいくい部分です。アシミレーションを活用し、組織としてお互いの疑問点や主張を明確化することが必要になります。アシミレーションによって全体的な理解が深まるので、非常に大きな意味があるでしょう。
組織を活性化させたいとき
新しいリーダーが組織に参加するときに効果的なアシミレーションですが、一緒に働いている期間が長いチームを活性化するためにも効果があります。組織が長く機能すると、その中に顕在化していない良くない要素が生まれるのです。
アシミレーションを活用することで、組織のマンネリ化を打破し、新しい発見につなげられます。こういった意味効果がアシミレーションにあるので、新しいリーダーが就任する場合以外でも活用してください。
アシミレーションに欠かせないファシリテーターの役割
ファシリテーターとは?
アシミレーションに欠かせない存在がいます。それがファシリテーターという役割です。ファシリテーターというのは「中立的」を意味する言葉で、会議などに設置することで効果を発揮します。
会議の進行度をアップさせる効果があるファシリテーターですが、アシミレーションを行う上でリーダーとメンバーの間に立つことで関係作りをサポートしてくれるのです。
役割①議題に合う適切な場を作る
ファシリテーターを設置した状態で話し合いを行っていきますが、最初にリーダーに席を外してもらうことが重要になります。まずはメンバーから様々な意見をファシリテーターが引き出すところから話し合いを進めていきましょう。
役割②参加者の意見を引き出す
ファシリテーターはメンバーから新しいリーダーに関する意見を出し合ってもらいます。リーダーに関して知っていることを始め、知らないことや知りたいこと、やって欲しいことやしてほしくないこと、そして自分たちについて知ってほしいことを出し合いましょう。
このときにメンバーが様々な意見を出しやすいようにファシリテーターがサポートするのが重要になります。話し合いのやり方として、ファシリテーターは言いやすい、軽い質問から初めて掘り下げていくのがおすすめです。
役割③適切なタイミングで出た意見の整理
ある程度意見が出揃ってきたら、意見を絞り込んで整理します。このとき重要なのはファシリテーターは結論を出すことが役割ではありません。あくまで結論は参加しているメンバーたちが導きだすものであり、参加者主導であることを忘れないようにしましょう。
役割④結論をまとめて次の行動を認識させる
話し合いの内容を振り返って参加者に結論をまとめさせてください。全員が話し合いの結論に理解と納得をしていることが重要なポイントです。そして、出た結論に対してその後の行動についても認識させることが必要になります。
アシミレーションのメリット
メリット①チームの生産性を高めることができる
アシミレーションを取り入れることのメリットを確認しましょう。アシミレーションを行うことによって、リーダーとメンバー、上司と部下の理解が深まるため、コミュニケーションがスムーズになります。
それぞれの望んでいることや期待していることを様子見する必要がないので、積極的に行動できるのです。メンバーの行動もスピーディーになり、生産性が高まるのは大きなメリットになります。共通認識を持って活動できることで、達成感も通常より高くなるでしょう。
メリット②チームの一体感を育むことができる
アシミレーションを取り入れたやり方によって、チームに一体感を生み出せます。新任リーダーとの関係性が築けないままプロジェクトが進んでいくと、ちぐはぐな部分が出てきてトラブルの原因になるのです。
そうならないためにも、アシミレーションを活用して、チームの一体感を育みましょう。また、一体感が生まれることで想定外のトラブルが発生しても、全員の能力を活用して対処できるのがメリットになります。
メリット③ミスマッチの解消に役立つ
ミスマッチの解消もアシミレーションのメリットです。アシミレーションはファシリテーターを設置することによって、リーダーとメンバーの間に立つ、中立的な存在がいる状態になります。この第三者の存在がチーム内のミスマッチを解消してくれる存在になるのです。
ファシリテーターがリーダーに内省を促すこともあれば、メンバーにも新しいリーダーの考えや目標を理解させることができます。このことからもアシミレーションにファシリテーターが必要不可欠であることが感じられるでしょう。
メリット④モチベーションの向上に繋がる
チームの雰囲気が良いことは働きやすい環境を意味します。こういった職場環境が良好な状態はモチベーションアップに大きな意味を持つでしょう。報酬面以外での改善として従業員にとって重要な要素です。
アシミレーションの効果的なやり方のポイント
アシミレーションを行う時期は1か月程度が目安
改めてアシミレーションの効果的なやり方を確認しましょう。ファシリテーターの効果を紹介した要素とあわせて再確認してください。
アシミレーションを行う時期は、新しいリーダーが就任してから一ヶ月程度が目安です。できるだけ早いタイミングで実施することが求められますが、就任直後では余裕が無いためアシミレーションを実施することはリーダーの負担になります。
一ヶ月程度経過した状態でアシミレーションを導入することで、状況判断やメンバーに対する考えも生まれているため、話し合いを行いやすくなるのでおすすめです。
ファシリテーターを選任してリーダーは席を外す
ファシリテーターの役割のところでも説明しましたが、アシミレーションを行うときはリーダーは一度席を外してもらいましょう。まずはしっかりとメンバーの考えを聞き出すことが重要です。
新任リーダーに関する具体的な意見を出し合う
アシミレーションの効果を高めるために、新任リーダーに関する具体的な意見を出し合ってください。ファシリテーターはメンバーが自由な意見を言えるようにサポートすることが大きな役割です。ざっくばらんにメンバーの立場や年齢などを気にさせずに意見を言えるようにしてください。
一ヶ月ほど期間は立っているので新任リーダーに関する様々な考え方をメンバーが持っているでしょう。話し合いの内容を精査しながら、ホワイトボードなどに書き出すこともおすすめです。
新任リーダーに意見を伝える
様々な意見が出揃ったらリーダーに戻ってきてもらいましょう。リーダーと入れ替わりに今度はメンバーが退出します。そのため、ここでもファシリテーターが中心となって、リーダーに出された意見を伝えます。
メンバーの意見がどういったものであるかを丁寧に説明し、内容を理解してもらってください。リーダーが説明を受けた後にメンバーに再入室してもらって、全員が揃った状態にします。
ここで大切なことは、新任リーダーが意見に対してコメントを一つ一つ行うことです。メンバーが意見を出し、リーダーがそれを聞くだけでなく、最後にしっかりと意見を伝えることでアシミレーションは成立するのです。このようなやり方でアシミレーションを行いましょう。
アシミレーションの注意点
注意点①適切なファシリテーターを選ぶようにする
アシミレーションのやり方を説明しましたが、この効果を最大限に発揮するための注意点を確認しましょう。アシミレーションのやり方で説明したように、この方法はファシリテーターの存在が重要です。そのため、ファシリテーターのスキルを持った人物の起用が必須になります。
この適切なファシリテーターの選出が行えないと、アシミレーションは成功しません。話し合いのやり方や意見の出し方など、様々な部分でファシリテーターは活躍します。中立で第三者の立場として参加するためには、チームとは関係のない部外者から選出するのがおすすめです。
また、外部のファシリテーターを起用する方法も選択肢になります。外部のファシリテーターは司会進行の技能を持ち、他人の意見を引き出すスキルも身に付けている存在です。同時にアドバイザーとしての能力も必要なため、ファシリテーターを社内で用意することが困難な場合もあります。
アシミレーションのやり方を考える上では、社内ではなく外部のファシリテーターを活用するのがおすすめです。特に重要なプロジェクトのチームを結成する際は、新任リーダーとメンバーの関係性が重要になります。外部のファシリテーターを必要なコストと考えて依頼することを検討してください。
注意点②発言者の名前は伏せるようにする
新任リーダーのために意見を出し合うことがアシミレーションのやり方ですが、間違っても「誰が出した意見かは伝えないこと」を守りましょう。意見はチームの総意であり、リーダーと個々のメンバーの関係性に影響を与えるのが目的ではありません。
注意点③意見が愚痴や悪口にならないようにする
アシミレーションで意見を出すときは、内容が愚痴や悪口にならないようにしてください。匿名性を保てるとはいえ、新任リーダーを攻撃するための話し合いの場ではありません。組織としてチームの理解を深めて、一致団結するための行為です。
ファシリテーターはそういった点に気をつけて、メンバーの発言内容が感情論に偏りすぎないようにサポートすることが求められます。
アシミレーションを取り入れて組織の相互理解を深めよう!
組織開発の手法であるアシミレーションについて解説しました。アシミレーションは新任リーダーとメンバー、上司や部下などの相互理解のための手法です。ファシリテーターを活用することで、本音を伝えられるのもメリットといえるでしょう。
スピードが求められる現代社会においてアシミレーションは重要な意味を持ちます。チームの生産性を高め、一体感を育てるアシミレーションを活用して、結束力のある組織を作りましょう!