AISASの意味や活用法を知りたい!
消費者の行動プロセスに関係するAISASについて解説します。AISASの意味やその活用法についてチェックしましょう。現代社会の購買行動モデルを知ることでマーケティング戦略も大きく異なってきます。古い購買行動モデルから新しい時代のマーケティング理論に切り替えていきましょう。
AISASとは?
ネット時代の変化に対応した購買行動モデルのこと
AISAS(アイサス)は「インターネット普及後の購買モデル」のことです。この理論を元に広告やマーケティング戦略が行われており、新しい時代の購買行動モデルとして活用されています。
また、このモデルの特徴として「Search(検索)」と「Share(共有)」が重要なポイントです。インターネットを使った消費者の行動特性に関わるもので、検索や共有が持つ意味を考えながら施策を行っていきましょう。
AISASが誕生した背景
日本でインターネットプロバイダによる接続サービスが開始されたのは1992年のことでした。そこから目まぐるしい技術革新によって、現在は多くの人が日常的にインターネットを利用しています。
特にスマートフォンの普及は若い世代だけでなく、年配の方にもネットに触れるきっかけを作ったのです。楽天やAmazonなどのネットショッピングを利用する人が増えて、以前のような理論とは異なった購買行動モデルが注目されるようになりました。
この中で商品に対する情報がマスメディアから送られる一方的なものではなく、SNSなどを通して消費者同士が口コミなどで得るようになったのです。同時に企業も消費者と活発に交流するようになり、一方的なものから双方向のコミュニケーションになっています。
古いマーケティング理論が通用しにくくなったのは、消費者の購買行動モデルが複雑化したためで、その中でAISASの理論が生まれたのです。
AISASの法則が適する商材
AISASの法則が適する商材は、企業が直接消費者にモノやサービスを提供するBtoCだと考えられています。ただし、近年はSNSやレビューサイトなどの普及により、企業から企業に販売するBtoBでもAISASは有効だと考えられるようになったのです。
そのため、様々なマーケティングの状況にAISASの理論は適用させられるので、積極的に活用していきましょう。古いマーケティングモデルだけでは、モノやサービスが消費者に興味を惹きにくくなっている点を知っておくことが大切になります。
AISASとその他の購買行動モデルとの違い
AIDMAとの違い
世の中には様々な購買行動モデルが存在します。そういった購買行動モデルとAISASの違いを確認していきましょう。AIDMA(アイドマ)はある意味で古いタイプの購買行動モデルです。
基本的な部分はAISASと似ていますが、AIDMAではテレビや新聞、雑誌などのメディアを活用したものになっています。注意、関心、欲求、記憶、行動の5段階の頭文字から名付けられたモデルになっており、この流れで消費者が行動を動かす理論です。
古い理論とはいえ、基本的な消費者の購入までのプロセスを考える上では重要なモデルになっています。AISASを学ぶ前にAIDMAについても学んでおきましょう。
AIDEESとの違い
実際の体験を重視するのがAIDEES(アイデス)という購買行動モデルです。注意、関心、欲求、体験、熱中、共有の頭文字から名付けられました。
体験を通して感じたことを共有し、熱狂的なファンが生まれることでより購入する人が増えていく理論です。たとえば、Apple系の商品はそういった熱狂的なファン同士が支えており、その体験を広めて売れ行きに影響を与えています。
AIDAとの違い
AIDA(アイダ)は注意、関心、欲求、行動の頭文字から名付けられたモデルです。AIDMAよりも古い時代から存在しており、購買行動モデルの原点と考えられています。
シンプルな購買行動モデルとなっており、基本的な消費者の行動を考えるときに活用してください。そして、そこから発展させる形でAIDMAやAISCEASを取り入れていきましょう。
AISCEASとの違い
発展型であるAISCEAS(アイシーズ)は、注意、関心、検索、比較、検討、行動、共有の頭文字から名付けられています。AISASに比較や検討を加えたモデルとなっており、そういったものを活用する商品やサービスにおすすめです。
SIPSとの違い
AISASと同じく、インターネット時代に適したマーケティング方法としてSIPS(シップス)も注目されています。こちらは、共感、確認、参加、共有の頭文字です。
この理論の特徴として、非常に共感を重要視している点がポイントになります。これはSNSが普及し、多くの人が何かに共感するところから購買につなげていくと考えているからです。いわゆるTwitterなどにおけるリツイートや拡散されなければヒットしない、という見方になります。
Dual AISASとの違い
AISASの発展型がDual AISASです。インターネットやSNSがさらに普及したことから、ネットコミュニケーションに興味がある層に対して興味を持ってもらうことを重視しています。
SNSでシェアしてもらって、別の第三者がさらにそれを拡散していくことを重要視しているのです。拡散されたものに興味を持たせて、共有・共鳴してもらう点がAISASに追加されています。この違いを把握しておきましょう。
AISASの行動プロセスと活用法
行動プロセス①Attention(注意)
AISASの行動プロセスと活用法を確認していきましょう。具体的な活用例なども参考にしながら、現代に合わせたマーケティングモデルを取り入れてください。
古いタイプのマーケティング理論においても、Attentionは非常に重要視されていました。古い時代では店頭やマスメディアが中心となっていましたが、現在はSNSやブログ、インターネットや口コミサイトが注意を惹くための媒体として活躍しています。
消費者が何かを買うときや利用するとききは、アテンションがきっかけになります。古いマーケティング戦略とは異なり、インターネットが普及した現代では情報過多が問題です。つまり、いかにして消費者に自社のモノやサービスを知ってもらうかを考えましょう。
具体的な活用法
実際に消費者に認知してもらうための具体例として、顧客のニーズを把握して、どういった層が対象なのかを確認してください。また、そういった顧客に対して適切なメディアを選択することも重要です。
細かな調査によって顧客のことを知ることで、その後の行動プロセスにつながっていきます。現代の顧客のニーズの変化はスピードが早く、商品サイクルは短くなっているのです。この点にも注意しながら、最新の顧客データを容易しましょう。
行動プロセス②Interest(興味)
顧客の注意を惹くことができたら、次はさらに興味や関心をもってもらうことが大切です。AISASの理論を理解し、しっかりとした分析を経て、興味を持ってもらったチャンスを逃さないようにしてください。
具体的な活用法
活用の具体例として、顧客のニーズや価値観に合う商品を伝えていきましょう。そして、その伝え方として広告や動画、記事などを活用してください。特に近年はYouTube動画やTwitterの広告は興味を持ってもらう重要な手段です。
適切な情報を伝えられることで企業や商品に対する信頼も高まります。精度の高い情報は顧客の購買意欲を持続させて、次につながるので大切にしていください。
行動プロセス③Search(検索)
AISASの核とも言えるのが検索です。インターネットが普及し、多くの人が日常生活で検索を行っています。テレビを見ていて気になったものや、スーパーで見かけた商品、友達との話で話題に挙がったモノなど、多くのことを検索するようになりました。
古いモデルでは情報は一方的に与えられるものでしたが、現在では自分から検索することのほうが多くなっています。また、消費者は商品を比較するようになっており、様々な要素から購入を検討しているのです。
検索する上で、レビューや口コミサイトの影響も強く、消費者は商品に対する知識を蓄えています。そのため、古いマーケティングモデルでは対応できない場面が増えている点に注目しましょう。
具体的な活用法
このように現代の消費者はパソコンやスマホを使って多くのモノやサービスを検索してから、購入することを決断します。ショッピングサイトやSNSの口コミを活用し、より自分のニーズにあったものを選んでいるのです。そのため企業は顧客が知りたいことを得られるシステムを構築してください。
行動プロセス④Action(行動)
検索したものを実際に購入してもらうのがAISASのアクションのプロセスです。検索まではしてもらえても、実際に行動に移してもらうには、大きなきっかけが必要になります。どういった形できっかけを与えるか具体例を参考にしましょう。
具体的な活用法
AISASにおけるアクションの具体的な活用法は、わかりやすさと安心感が必要です。ネットショッピングの商品ページで、消費者が商品のデザインやサイズ感がわかりやすいようにしましょう。また、サイトの見た目も直感的でわかりやすいデザインがおすすめです。
ネットショッピングではなく実店舗で購入してもらう場合は、商品が目立つようにポップを使うのがよいでしょう。お店ごとのオリジナリティを持たせて、競合他社に顧客を奪われない姿勢が求められます。顧客に「この店で買いたい」と思わせることで、継続した利益につながります。
行動プロセス⑤Share(共有)
こちらもAISASの活用として注目のポイントです。購入してくれた顧客がSNSなどを通じてシェアしてくれることで、より売れ行きがアップします。注意したいのは、顧客は好意的な場合よりも不満があるほうが情報を共有する傾向にあるのです。
また、情報を共有するときに実際に購入していない人が口コミを広めようとする場合もあります。Amazonなどでは購入者しかレビューが書けないシステムを導入しており、風評被害を防ぐ形になりました。
具体的な活用法
AISASにおいてこの共有をどのように活用するか検討してください。ブランドに対して好意的な人でも厳しいレビューを投稿する場合があります。その声に対して企業が真摯に受け止めて、改善する姿勢を発信することが重要です。
ネガティブな意見をただの批判と考えるのではなく、自社製品をより良いものにしてくれるアイデアと考えて分析しましょう。AISASの理論ではこれらの5つのポイントを踏まえて、改良や商品広告を作っていきましょう。
AISASの活用事例
活用事例①RIZAP
AISASの活用事例を確認してみましょう。健康食品やダイエット食品の製造や販売を行っているRIZAPですが、印象的なCMで興味を惹くことに成功しました。AISASの中で重要なきっかけの部分を成功させており、CMで流れるBGMもイメージを定着させています。
実際に有名人に挑戦してもらったこともAISASを考えた方法であり、積極的にSNSやブログで共有させている点も注目のポイントです。
活用事例②スターバックス
世界的なコーヒーショップチェーンであるスターバックスのAISASは、Twitterなどを活用して定期的に新商品の情報を発信して拡散につなげています。特に季節ごとのフレーバーは顧客を飽きさせないマーケティング戦略です。
活用事例③コストコ
コストコはメディアを活用し、様々な商品があることを発信しています。そして、会員というシステムを使って、実際に店舗に訪れてもらい、その幅広い商品を目にしてもらうことにつなげました。コストコならではの商品展開などAISASの理論が活かされているのが確認できます。
活用事例④YOASOBI「夜に駆ける」
若者を中心に人気のある2人組音楽ユニットのYOASOBIは、キャッチーなメロディと共感を呼ぶ歌詞で人気となりました。YouTubeやニコニコ動画、TikTokなどを活用して「歌ってみた」などで、関心を集めたのです。
また、サブスクリプションサービスで購入しやすいのもAISASを活用している点になります。CMが売れない、と言われている現代社会においてAISASの意味を理解し活用して、どのように音楽を広めるかの参考になるでしょう。
AISASの理論を活用して消費者行動を読み解こう!
現代に最適なマーケティング理論であるAISASについて解説しました。どのようにして検索してもらい、共有につなげていくかが大きなポイントです。AISASを活かして顧客のニーズを分析し、ネット社会の中で競合他社に負けないモノやサービスを展開していきましょう!