テレワークの普及に伴い、在宅勤務の方も増えてきました。通勤時間の削減や様々な家庭事情を抱える方にとってもテレワークによるメリットは大きいはず。一方で、会社や組織として考えた時に、従業員同士のコミュニケーションがうまく取れなくなることも少なくありません。こうしたデメリットを解決するにはどのような工夫が必要でしょうか?
テレワークによって生じる課題
テレワークによって会社に出社しなくても、仕事ができるようになりました。通勤時間を削減できることから、個々のライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
一方でテレワークの普及でデメリットも生じます。
主なデメリットは以下のとおりです。
- コミュニケーション不足
- プライベートと仕事の切り替えが難しい
- 紙の書類を扱う業務の対策が不便
- 自宅の業務スペースの確保が難しい
自宅やサテライトオフィスなどで仕事を行うと、周囲に誰もいないのでどうしてもコミュニケーションが不足します。
また自宅でテレワークを行うときは、仕事着への着替えや移動がありません。周囲にはゲームや漫画など誘惑も多く、仕事モードに切り替えるのが難しいでしょう。長時間仕事をすることになるので、机や椅子を準備する必要があります。自宅の業務スペースの確保が難しい方もいるかも知れません。
さらに紙を扱う捺印や商品の発送は、自宅ではできません。そのためテレワークを導入しても出社する必要があります。
こちらでは以下の内容を解説します。
- チャットツール、ビデオ会議の急速な普及
- コミュニケーションツール不足が最も大きな課題
それぞれ解説するので、参考にしてみてください。
チャットツール、ビデオ会議の急速な普及
テレワークによって、同じ会議室に集まって打ち合わせをする機会がなくなりました。従業員同士が直接話す場面がなくなっています。代わりにビジネスチャットツールやビデオ会議が急速に普及したため、使っている方も多いでしょう。
主なチャットツールは以下のとおりです。
- slack
- Chatwork
- LINE WORKS
- Microsoft Teams
- Workplace
ビデオ会議システムは以下のとおりです。
- Zoom
- Microsoft Teams
- GoogleMeet
上記のツールやシステムが普及したことで、日々の連絡や会議を手軽に行えるようになりました。
メールでの連絡を堅苦しいと感じている方もいるかもしれません。チャットツールはSNSに近い使い方ができ、リアルタイムで気軽に情報共有できます。
さらに部署やプロジェクトごとにグループを作成できるため、社内だけでなく取引先との連携も可能です。
またビデオ会議システムは、IDとパスワードを共有すれば、誰がどこにいても打ち合わせができます。テレワークで離れた場所にいても、スムーズに打ち合わせができるでしょう。取引先への移動時間もなくなり、より多くの会議を入れられます。
画面共有機能を使えば紙の資料を用意する必要がなく、打ち合わせの準備時間が削減できるようになりました。
コミュニケーション不足が最も大きな課題
今までは聞きたいことがあれば、上司や同僚の席に行って話をするのができたでしょう。しかしチャットツールは文書でのやり取りなので、意図が伝わりづらいです。ビデオ会議では2〜3分のために開催することは、ハードルが高い印象があるでしょう。
そのためコミュニケーション不足がテレワークにおける最大の課題です。個人の環境で仕事をしているため、誰かと話すのが疎かになります。
またコミュニケーション不足によって、以下の問題が起こる可能性があります。
- モチベーションの低下
- 雰囲気がわからない
テレワークでは人と話すことがかなり少なくなるため、モチベーションにつながりません。出社していれば周囲の働いている姿が見られたり、会話したりして自分のモチベーションを向上できるでしょう。
さらに直接会ってコミュニケーションを取らないので、相手の雰囲気がわかりません。特にビデオ会議では怒っていなくても、怒っていると伝わることが珍しくないです。働いているし方が見えない分、上司にサボっていると疑惑を持たれる可能性もあります。
コミュニケーション不足が起きる原因
コミュニケーション不足が起きても原因がわからなければ、対策を取れません。原因を知りたい方は多いのではないでしょうか。
こちらでは以下の3つ項目を解説していきます。
- コミュニケーション量の低下
- 認識の違いが起きる
- 世代格差
一つひとつ解説しますので、参考にしてみてください。
コミュニケーション量の低下
1つ目の原因は、直接話す機会がないのでコミュニケーション量の低下です。3つの原因の中で最も重要になります。
コミュニケーション量の低下には以下が挙げられます。
- 雑談が減る
- タイムラグがある
またコミュニケーション量が低下すると「質」も下がります。特にチャットツールは、文章でやり取りをするため、場合によって誤解を招くケースもあるでしょう。適切なコミュニケーションを取りたいですよね。
雑談が減るため
会社に出社していれば、誰かしらいるので仕事以外の話もするでしょう。しかし、テレワークでは周囲に上司や同僚がいません。そのため雑談をする機会が減ります。
雑談をするために、わざわざビデオ会議システムを起動させるのは気が引けるでので、コミュニケーション量は減るでしょう。
また雑談が減ると以下のデメリットがあります。
- 孤独を感じる
- 情報量が減る
テレワークはひたすら一人で仕事を進めます。さらにセキュリティの問題で、自宅以外のカフェやサテライトフィスでの仕事を制限している場合もあるでしょう。雑談の機会が減って孤独に感じる方もいます。
雑談の中から新たなビジネスが、生まれる可能性もあります。基本的にテレワークは最低限の会話以外をしないことが多いです。よってビジネスチャンスを失うことになります。
タイムラグがあるため
テレワークでは相手の業務状況がわかりづらいです。伝えたいことがあっても、会議中や電話中であることは珍しくありません。リアルタイムで情報が伝えられず、タイムラグが生じます。
またチャットツールやビジネス会議は、ネットワークに接続していないと利用できません。特にビジネス会議はネットワーク負荷が大きいため、人によっては音声が遅れたり、画面が固まったりするでしょう。
そのため会話に入っていけず、コミュニケーションが取りづらくなります。
自宅のネットワーク環境は従業員ごとに異なり、回線速度が速い方もいれば、遅い方もいるでしょう。回線工事はお金も時間もかかるので、中々できないものです。
タイムラグはコミュニケーション不足の原因と言えるでしょう。
認識の違いが起きる
チャットツールやビデオ会議を使ったコミュニケーションは、相手の反応がわかりづらいです。そのため相手に伝えたい意図が伝わらず、認識の違いが起きます。
聞かれた側からしても反応しづらく、情報のずれがあるまま話が進んでいく可能性もあるでしょう。
一人ひとりに確認しながら進めると、どうしても業務効率が悪くなるので、コミュニケーション不足に陥ります。
言葉不足
テレワークの連絡手段は、メールやチャットツールなどテキストで行うのが主流です。人によって文章の捉え方は異なります。そのため口頭で補足ができず、意図が伝わらないことがあるでしょう。
また文章は簡潔な方が読みやすいです。伝えたいことが多くあって補足を含めすぎた文章にすると、非常に読みづらくなります。
相手に読みやすい文章にした結果、言葉不足で伝えたい情報が伝わらないことになるでしょう。
世代格差
社員の年代が上がるほど、テレワークを反対するケースがあります。今までは会社に出社するのが当たり前であり、仕事のプロセスを重視するからです。自宅で仕事をすると、意欲や努力をみられないので抵抗を感じるでしょう。
h4ツールを使いこなせない人もいる
テレワークを導入することで、チャットツールやビデオ会議の使い方を覚える必要があります。世代によってはツールを使いこなせない方もいるでしょう。
若い世代は普段からスマートフォンのアプリや電話を使って連絡しており、新しいツールが出ても比較的すぐに使いこなせます。
しかし年代が上がるにつれて、スマートフォンよりも対面で話すことが多いです。ITの知識がなくツールを使いこなせなかったり、使うまでに時間がかかったりします。
そのためコミュニケーションが取れないことにつながるでしょう。
対策
こちらではテレワークにおけるコミュニケーション不足の対策を解説します。
- チャットでの雑談を歓迎する
- 上司・部下の一対一面談の実施
- 社内イベントの実施
対策方法を把握して、活用してみてください。
チャットでの雑談を歓迎する
コミュニケーション不足が起こる原因の一つに、雑談が減ったことが挙げられました。積極的に雑談をするのが重要です。
しかし、ただ雑談をすればいいわけではありません。チャットワークやビデオ会議は必要な連絡以外は取らない傾向にあるからです。
そこでグループチャット機能を使用して、雑談部屋を作りましょう。仕事の話をなしにすると比較的雑談をしやすくなります。
上司から雑談を歓迎することを伝えるてあげれば、若い世代も連絡しやすいです。人によっては自分から連絡できない方もいるので、上司が積極的に世間話をするのが効果的でしょう。
休憩時間や作業の合間に雑談できる仕組みを作ると、コミュニケーション不足の改善につながります。
上司・部下の一対一面談の実施
コミュニケーション不足の対策には、上司との面談も有効です。ビデオ会議だと、一人ずつの発言になるため、話したいことがあても中々言いづらいものです。さらに会議の出席者が増えるほど、会話へ入りづらくなります。
そこで上司と部下の一対一の面談を行いましょう。二人きりの空間なので、業務やプライベートなど、さまざまなことを話せれば、コミュニケーション不足の改善になります。
面談の中でテレワークの意見を聞ければ、今後の運用に活用できます。会社として良い方向へ進んでいけるでしょう。
社内イベントの実施
テレワーク中は一人での作業が多く、会話が少ないことからモチベーションが低下する原因になります。
そこでオンラインでできる社内イベント実施が重要です。イベントであれば仕事以外の話もしやすく、コミュニケーション不足の対策の役立ちます。さらに普段話さない従業員との交流ができ、今後の業務を円滑に進めていくことに活用できるでしょう。
主な社内イベントは以下のとおりです。
- リモート飲み会
- オンラインランチ会
- リモート朝活
- リモートゲーム会
- オンライン入社式
- 社内勉強会
上記のようにイベントに縛りはありません。
社内イベントは、積極的にコミュニケーションを取るチャンスですので、実施してみましょう。
成功事例
ここまでにコミュニケーション不足の原因と対策を解説しましたが、成功事例を知りたい方もいるのではないでしょうか。
成功事例を把握できれば、自社でも対策を行いやすくなります。
こちらでは以下2社の事例を紹介します。
- レノボ・ジャパン
googleの事例
Googleは世界各国に170カ所以上のオフィスを展開し、約10万人以上の社員が勤務しています。メール・チャット・ビデオ会議などのを状況に応じて、使い分けながらコミュニケーションをとっています。
また複数人で編集が可能なGoogleドキュメントやスプレッドシートなどを使うことで、どこで働いていても円滑な資料作成や情報共有が可能です。
コミュニケーションを積極的に行うため、チャットやビデオ会議を利用してリアルタイムでの情報共有を行なっています。さらに取引先の企業文化で業務時間が遅くなるときは、Gmailの送信時間設定を使用して、自動的にメールをすることもあります。
ある社員が得意な分野のスキル・知識を教える「g2g(Googler-to-Googler)」やコーヒーを飲みながら雑談する「Virtual Coffee Ninja」などを実施してコミュニケーションを取っています。
レノボ・ジャパンの事例
レノボ・ジャパンは2015年からテレワークに取り組んできました。対象を特定の部門に限定しないで、出社回数を設けない「全社無制限テレワーク」に取り組んでいます。
また全社員に対してパソコン・プライバシーフィルタ・オンライン会議用ヘッドセットを配布しています。会社とし社員のテレワークを応援しているのが特徴です。
連絡を取るための標準ツールはMicrosoft TeamsとSkype for Businessを使用しています。直接会話する場合は、Skype for Businessを利用します。相手の勤務状況を把握でき、メッセジーを送って、了承を得てから電話をかけるといった使い方です。
コミュニケーション不足は、ツールを使用して同僚と雑談することで対策をしています。