アントレプレナーシップ(企業家精神)とは?意味や必要なスキルも!

アントレプレナーシップ(企業家精神)とは?意味や必要なスキルも!
目次

アントレプレナーシップの意味や必要スキルを知りたい!

ビジネスシーンにおいて、アントレプレナーシップという言葉を知っていますか?アントレプレナーシップとは、企業家精神の事を指す言葉です。社会や経済、ニーズの激しい今の世の中において、アントレプレナーシップを持つ人材の需要は高まっています。

本記事では、アントレプレナーシップの意味や注目されている背景、必要なスキルなどを詳しく紹介しています。アントレプレナーシップに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

アントレプレナーシップとは?

アントレプレナーシップの言葉の意味

アントレプレナーシップの言葉の意味は、事業家や起業家の事を指します。詳しく説明すると、何もないところから事業を新しく立ち上げる人、起業家精神の事です。他にも様々な呼び方があり、アントリプリナー、アントルプルヌールとも呼ばれています。

起業家は企業家、経営者でもありますが、言い方によって意味合いに違いも。企業家や経営者が企業経営に取り組む人を指していますが、起業家はゼロから事業を起こす人を意味しています。

アントレプレナーの定義

アメリカのハーバード・ビジネス・スクールのハワード・スティーブンソン教授は、アントレプレナーを起業家精神と位置付けています。そして、「アントレプレナーシップは、コントロールできる経営資源を超越し、機会を追求する姿勢」と定義しています

アントレプレナーの語源

アントレプレナーの語源は、フランス語のエンタープライズ(Entrepreneur)が基になっています。企業を意味する「Entre」と取る人を意味する「preneur」が合体し、起業家を意味する「Entrepreneur」となりました

アントレプレナーは直訳すると、間を取り持つ人になります。昔の時代では、貿易商や仲介人などのビジネスの間に入る人を指して使われていた言葉です。しかし、時代の変化と共に事業家や企業家の意味として、広がっていきました。

イントレプレナーとの違い

イントレプレナーとは企業内で起業を行う人、すなわち社内起業家・企業内企業家の事を指します。簡単に説明するならば、プロジェクトリーダーと捉えると分かりやすいです。アントレプレナーとイントレプレナーの大きな違いは、独立しているか、してないかです

何もないとことからスタートするアントレプレナーと違い、イントレプレナーは企業の方針に従い様々な制約との折り合いを付けながらビジネスをスタートさせなければなりません。社員をひっぱりながら調整力を持ち合わせる、リーダーシップが必要となる立ち位置です。

情報起業家を指すインフォプレナーの意味

インフォプレナーとは、自分が持っている成功ノウハウやビズネスツールなどの情報商材を元手に企業する人、情報起業家を指す言葉です。インフォプレナーの語源は、インフォメーション「Information」とアントプレナー「Entrepreneur」が合体してできた言葉です。

シリアルアントレプレナーの意味

シリアルアントレプレナーの意味は、新しい事業を連続して立ち上げてベンチャー企業の売却を繰り返し行う、連続起業家を指しています。一つの企業を大きくするのではなく、売却、譲渡した利益と人脈を基に企業を立ち上げては売却を繰り返すのです。先進国のアメリカでは、既に多くのシリアルアントレプレナーを輩出しています。

アントレプレナーシップを発揮しやすい企業

アントレプレナーシップが発揮しやすい企業には、従来の制約などを取り払い、縛られず失敗することに恐れずそれが認められている企業です。さらに、新しい事業を始める時に、今行っている事業に影響があると困ります。企業の組織全体で、旧来の考えを脱却する事が大切です。

先進国のアメリカの大手化学メーカー3Mでは、勤務時間の15%を好きな研究に費やす事が出来ます。挑戦する事で失敗する事もありますが、失敗も容認されるのが特徴です。社員に挑戦できる土壌を作ってあげる事で、社員のアントレプレナーシップを伸ばす事が可能になり、発揮しやすい企業に成長していきます。

アントレプレナーシップが注目されている背景

日本の国際競争力の低下

国際経営開発研究所が発表している、世界競争力ランキングでは、1992年まで日本はランキング1位を保っていました。しかし、年数を重ねていくうちにランキングが徐々に下落していき、2020年には34位と過去最低記録を更新してしまいました。

世界競争力年鑑では4つの大分類である経済状況、政府効率性、ビジネス効率性、インフラごとの順位、さらに小分類20個の順位として公表されています。日本で特に低下しているのが、「企業の俊敏性」「起業家精神」です。

企業側による雇用形態の変化

アントレプレナーシップが日本で注目されている背景として、雇用形態の変化が挙げられます。近年では、日本で主流だった終身雇用や年功序列の雇用形態が変化してきています。そのため、指示を待つだけの人間よりも、自ら経済活動に取り組む人材を評価されるようになりました。

企業では年功序列ではなく結果を出した人、つまり成果主義を前提とした役職等級制度の導入が進められています。新しい事業に積極的に挑戦する、アントレプレナーシップを持っている人が求められています。

グローバルリーダー育成の強化

アントレプレナーシップが注目されていることから、グローバルリーダーの教育、強化への需要が高まっています。経済やニーズの変化が激しい近年では、新事業や新商品への開発に高い意欲を持ち合わせ、リスクに恐れず積極的に挑戦していく、アントレプレナーシップを持ち合わせる人材が必要です。

大学授業における採用の増加

武蔵野大学や東京大学などの授業でも、アントレプレナーシップ授業を採用しています。東京大学には、東京大学アントレプレナー道場というものが存在し、起業やスタートアップについて初歩から学ぶことが出来るプログラムがあります。

大学や大学院に起業家精神のカリキュラムを設置することにより、国内のみならず、世界にも通用するグローバル人材の育成に需要が高まっているのです

アントレプレナーシップが持つさまざまなカタチ

イノベーションを前提としたアントレプレナーシップ

ピーター・ドラッカーという名のオーストラリアの経営学者は、「イノベーションと企業家精神」の著書の中で、アントレプレナーシップをイノベーションを生み出し、それを企業活動への適応・管理していく力と定義しています

さらに、アントレプレナーシップをスタートアップ企業の創造過程だけでなく、既存企業内での新規事業開発の活動を表す場合もありうるとしています。イノベーションのマネジメント方法、戦略立案を中心に管理職の視点からアントレプレナーシップを見ていることが特徴です。

企業家としてのアントレプレナーシップ

ハーバード・ビジネススクールのハワード・スティーブンソンは、コントロール可能な資源を超越して機会を追求することをアントレプレナーシップとして、定義しています。新事業や新しい商品の開発で、労働力や資本不足になった場合、現状を乗り越えるため創意工夫する姿勢、能力をアントレプレナーシップと呼ぶ考え方です

新事業を始める際に、経営資源が足りないことがほとんどです。経営資源に頼るだけでなく、個人や組織全体が創意工夫して、取り組む姿勢が企業家には大切です。

行動体系としてのアントレプレナーシップ

トヨタ自動車の豊田章男氏などを輩出する起業教育の名門校バブソン大学は、アントレプレナーシップの名門校であり、全米ビジネススクールランキング・アントレプレナーシップ部門で27年間連続トップを獲得しています。

バブソン大学では、大学1年生で起業が必修科目となっています。この講義の目的は、失敗を重ね失敗から何を学んだかで、この経験から企業家としての行動原則の過程を習得。この大学は、アントレプレナーシップをひとつの思考・行動体系として位置付け、教育を行っていることが特徴です

アントレプレナーシップに必要なスキル

自分が取り組むビジネスに対して確固たる信念を持っている

必要なスキル1つ目に紹介するのが、自分が取り組むビジネスに対して、確固たる信念を持つ事です。世界にも通用するグローバルリーダーになるためには、自信がなくては話になりません。ただし自信の持ち方を勘違いして、偉そうな態度をとらないように注意が必要です。

さまざまな事を経験し、失敗を見直し学ぶ事で成功へと繋ぐ事が出来ます。そして、成功は必ず自信へと繋がることでしょう。ぜひ、ここでついた自信をビジネスで発揮してください。

企業活動へ繋げるための優れたマネジメントスキル

新事業を企業活動に繋げるために必要な物は、マネジメントスキルです。新事業を興すためには、既存のルールに捉われることなく、新事業専用の組織を立ち上げる事が有効です。そして、この組織に必要な人材が皆を引っ張ることが出来るリーダーシップを持つ人と、適切な管理・マネジメントを行うファシリテーション能力を持つ人です

新たなビジネスモデルを生み出す能力

事業の中心に立つ企業家は、競合の他社に勝つためにも市場の動きや顧客のニーズを把握し、新たなビジネスモデルを確立する能力が必要です。さらにアントレプレナーには、今までの事業の枠組みに捉われない柔軟性と想像力が求められます。

新しいビジネスモデルを確立するためにも、アイデアが必要になることも。アントプレナーは、常に頭に事業の事を入れておき、新たなビジネスを創出するためのアイデアを模索する必要があります。

豊富な人的ネットワークを持っている

新事業を始める際に、アントレプレナーにアドバイス、サポートしてくれる体制があった方が、より能力を発揮出来ます。自分の考えを伝えてくれる、意見してくれる存在は、企業にとって大切な人材になるでしょう。このような豊富な人的ネットワークは、企業家・起業家にとって必要なスキルです。

リスクを恐れない姿勢

アントレプレナーシップの価値観では、何事にも前向きに取り組みリスクを恐れない姿勢が大切です。リスクがあると分かっていて、突き進むのは難しいかもしれませんが、失敗は成功の基。失敗から学ぶことにより、次のビジネスが成功する確率は上がります。

失敗を恐れず挑戦を続けていく事で、多くの経験を積むことが出来ます。経験を積むと対策方法の選択肢が広がるでしょう。アントレプレナーには、このような姿勢が求められます。

画期的なアイデアや革新的な技術を備えている

アントレプレナーには、創造性が必要です。アントレプレナーシップの価値観で創造性とは、画期的なアイデアや革新的な技術を備えている事、経営資源の動かし方、ビジネスチャンスなどを指します

変化が激しい市場に対して、ターゲットとなる顧客のニーズを観察、察知して行動に移す過程はビジネスチャンスの機会になります。さらに、経営資源だけに捉われるのではなく、新たな事に挑戦しビジネスを開拓していく事も重要です。

アントレプレナーシップ教育の主な事例

アントレプレナーシップ教育とは?

アントレプレナーシップ教育とは、起業家教育の事を指しています。起業家的な精神・資質・能力を教育する目的で行われており、別名・起業家精神涵養教育と呼ばれることも。教育内容としては、積極的に夢を語り合い、実現に向けて考える事や生徒が自分について見つめて、自己開発のきっかけを作る事などが挙げられます。

大学や大学院がこの授業を採用しているように、アントレプレナーシップ教育は、これからの経済を担う人材の育成に必要不可欠です。

アントレプレナーシップ教育の事例

アントレプレナーシップ教育は、各自治体や高等学校などで開催されています。この記事では、2つの事例に絞り紹介します。一つ目は宮城県仙台市の自治体が開催しており、地元の高校生を中心に「東北の復興など社会企業」をテーマとして取り組みました。20時間の集中プログラムで、地域の社会課題を抽出し、具体的な解決策を模索しました。

香川県立高松工芸高等学校が開催した、アントレプレナーシップ教育では、高松琴平電気鉄道と初めてコラボレーションしました。テーマを「高松琴平電気鉄道、沿線の活性化」とし、20時間のプログラムの中で生徒の発想を広げ、より効果的な沿線活性化策に繋がるように、解決案を模索しました。

アントレプレナーシップを有する人材を育成しよう!

アントレプレナーシップについて、言葉の意味や注目されている理由、必要なスキルや主な教育事例について紹介しました。教育科目に採用されているように、これからの経済でアントレプレナーシップを持つ人材は、必ず必要になります。アントレプレナーシップを有する人材を育成し、世界でも通用するスキル・能力を手に入れましょう。

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