リンゲルマン効果とは?意味や原因・具体例や対策方法も解説!

リンゲルマン効果とは?意味や原因・具体例や対策方法も解説!

リンゲルマン効果の意味や原因などを知りたい!

企業の経済活動に大きな弊害をもたらすと言われるリンゲルマン効果とはどのようなものなのか。リンゲルマン効果の言葉の意味や、なぜリンゲルマン効果が起きてしまうのか、その原因を解説します。

また、リンゲルマン効果の具体例を挙げ、対策方法も紹介しますので、この記事を参考にして対策を検討し、リンゲルマン効果の起きにくいチーム作りの参考にしてください!

リンゲルマン効果とは?

生産性向上を阻害する原因と指摘されるリンゲルマン効果とは、どのようなものなのでしょうか。ここでは、リンゲルマン効果の言葉の意味や傍観者効果との違いを解説し、リンゲルマン効果の具体例を紹介します。

リンゲルマン効果の言葉の意味

リンゲルマン効果の言葉の意味は、集団で共同作業をする際に、単独で作業した場合に比べて、人数の増加とともに一人あたりの生産性が低下する現象のことです。

ドイツの心理学者リンゲルマンが提唱したとされ、「社会的手抜き」、「フリーライダー(ただ乗り)現象」ともいわれています。従業員が多く、年功序列を採用する日本企業では、以前から生産性の向上を阻む原因として指摘されてきました。

傍観者効果との違い

リンゲルマン効果と似ている心理現象に、「傍観者効果」があります。傍観者効果は、自分以外の傍観者がいるとき、自分は率先して行動を起こさないという集団心理です。

自分が当事者ではないという状況で発生しやすいとされており、集団の中で起きやすく、自分は率先して行動を起こさないという点は、リンゲルマン効果と共通しています。しかし、リンゲルマン効果が共通の利害関係を有する集団の中で起きるのに対し、傍観者効果はひとりひとりが利害関係にない集団で起きることが特徴です。

集団作業で手を抜いてしまうのがリンゲルマン効果、他の傍観者と責任を分散するなど、物事への関与を避けてしまうのが傍観者効果です。

リンゲルマン効果の具体例

リンゲルマン効果の具体例として有名なものに、ドイツの心理学者リンゲルマンが行った綱引き実験があります。この実験によって、単独で綱を引くのに比べて、参加人数が増えるほど、一人あたりの引く力が減少していくという結果が実証されました。

この結果から、単独で作業をする際に比べて、参加人数が増えるほど、一人あたりの貢献度が下がることが判明しました。

企業におけるリンゲルマン効果の具体例

企業におけるリンゲルマン効果の具体例としてあてられるのは、国際ニュース週刊誌Newsweekによるものです。これは、アメリカの全国の従業員のうち、90%が業務中にネットサーフィンをしていると認め、また、従業員の84%が職場で私的なメールを送信しています。

リンゲルマン効果が起きる原因

リンゲルマン効果はなぜ起きてしまうのでしょうか。ここからはその原因を4つの項目に分けて、それぞれ解説します。

原因①責任感が欠如するため

リンゲルマン効果が起きる原因の一つが、周囲に対して、自分の貢献度が隠れてしまうことがあげられます。これは従業員が多い企業ほど起きやすいとされ、「誰かがやってくれる」「みんながやらないなら、やらなくてもいいだろう」といった意識が発生。こうした責任感の欠如が仕事の能率を低下させることへとつながっていきます。

原因②同調行動が起こるため

リンゲルマン効果が起きやすい集団の中では、単独行動に比べて、迷いながらも周囲の言動にあわせてしまう、同調行動が起こりやすくなります。「周囲から好好かれたい」「人と違うことをして嫌われたくない」「間違いたくない」など、さまざまな理由が。こうした同調行為が起こると、リンゲルマン効果へとつながっていきます。

原因③コミュニケーションが取れていないため

集団で活動する際に、十分なコミュニケーションが取れていないと、知らず知らずにメンバーに疎外感を与えてしまうケースがあります。こうした疎外感はモチベーションの低下を生み、仕事の質や効率を低下させ、リンゲルマン効果へとつながります。職場環境の悪化から、離職率の上昇にもつながりかねません。

原因④勤怠管理システムが整備されていないため

勤怠管理システムを整備することは、残業時間などの従業員の労働管理に役立ちます。また、残業時間の水増しや、遅刻や早退の無申告といった不正を防止し、勤務時間を正確に管理することも可能です。日々のデータを集計し、勤務の実態を把握することもできるので、勤怠管理システムを整備することはリンゲルマン効果の抑止に役立ちます。

リンゲルマン効果がもたらす主な影響

リンゲルマン効果が起こると、企業活動に様々な弊害を及ぼします。ここでは、リンゲルマン効果がもたらす主な影響を検証します。

仕事の生産性が低下する

業務の中で個々の役割や貢献度が見えづらくなるとリンゲルマン効果が発生しやすくなります。これを放置し、リンゲルマン効果がまん延すると、一人あたりの生産性が低下し、ひいては企業全体の生産性にも影響を及ぼします。

企業にとって生産性が低下することは、経営状態をも左右する危険な要因です。リンゲルマン効果がまん延することは、企業に恐ろしい弊害をもたらすと考えられています。

フリーライダーの社員が増加する

個々の役割や貢献度が明確化されない業務では、フリーライダー(ただ乗り)の社員が増加すると言われています。フリーライダー社員をそのままにしておくと、部署全体に悪影響が出てくるため、注意が必要です。

真面目に仕事をしているメンバーの負担となり、「自分だけ真面目にやっているのがバカらしい」と、フリーライダー社員を増加させてしまう可能性があります。フリーライダー社員の増加を防ぐには、ひとりひとりの役割や貢献度を確認できるようにし、成果に見合う評価を与えることが大切です。

モチベーションが低下しやすくなる

従業員の多い企業などでのあいまいな人事評価制度は、「どうせ頑張っても報われない」という意識に結び付き、モチベーションの低下につながります。モチベーションの低下は、仕事の質や効率を低下させ、職場環境を悪化させたり、離職へとつながっていくこともあります。

リンゲルマン効果の対策

企業にさまざまな悪影響をもたらすリンゲルマン効果を防止するためにはどのような対策が有効なのでしょうか?集団心理によって起こるリンゲルマン効果には、個々に直接指導する方法はあまり効果がありません。ここでは、組織的な4つの対策を紹介します。

対策①個人評価を可視化する

あいまいな個人評価は不公平感を生み出し、モチベーションを低下させます。このため個人評価を、具体的に数値化するなどして明確化し、分かりやすく可視化することが必要です。

個人評価を可視化することで、さらなる能力の向上をもうながすこととなります。また、明確な個人評価は、部下の承認欲求を満たし、モチベーションの向上にも効果的です。

対策②役割を明確にする

リンゲルマン効果を防止するには、ひとりひとりの役割分担や貢献度を明確にすることが効果的です。役割分担を明確にすることで、自分の役割への責任感が生まれ、仕事の質や効率の向上につながります。

単独作業では明確な役割も、集団作業の中では「誰かがやるだろう」という意識が生まれ、業務の遂行性が低下しやすくなります。明確に役割を示すことは、個々の責任と成果を明確にし、リンゲルマン効果を抑止する効果があります。

対策③相互評価システムを導入する

リンゲルマン効果は、コミュニケーションや共同作業の少ない場面で起こりやすいと考えられています。このため、お互いに認め合い、個人の努力も評価されやすい相互評価システムの導入は、リンゲルマン効果効果の抑止に効果的です。「頑張りを見てもらえている」という安心感が、個々のモチベーションアップにつながります。

対策④平等な機会を与える

単独作業と比べて、集団の中で「いつもやる人が決まっている」場合など、人任せになってしまったり、逆に自分がやりたくても言い出せないことで意欲を低下させてしまうことがあります。こうした場合には、ひとりひとりに平等な機会を与えることで、それぞれが当事者意識を持ち、成長する機会を得ることができます。

リンゲルマン効果による弊害を最小限にとどめよう!

企業にとって深刻なダメージを与えることもあるリンゲルマン効果について、言葉の意味や主な原因、対策についてまとめました。単独での作業に比べて、集団で作業する際に一人当たりの生産性が低下してしまうリンゲルマン効果。しかし、しっかりと対策することで、集団作業でもリンゲルマン効果が起こるのを抑止することができます。

リンゲルマン効果をまん延させてしまうと経営状態を左右させてしまうことにもなりかねません。この記事を参考にして、リンゲルマン効果の弊害を最小限にとどめられるよう、最適な対策方法の導入に役立ててくださ

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