VRIO分析とは?目的や作成方法・活用事例や問題点も解説!

VRIO分析とは?目的や作成方法・活用事例や問題点も解説!

VRIO分析の意味や作成方法などを知りたい!

VRIO(ブリオ)分析は、1990年代に登場するや否や、企業分析を行う際に経営資源の利点・問題点をわかりやすく抽出してくれる必要不可欠なフレームワークとして活用されています。

各有名企業の事例をあげながら、VRIO分析を行う目的や作成の方法、問題点の抽出などについて紹介していきます。VRIO分析の大切さと必要性を知りながら、企業の強み・弱み・利点・問題点などを抽出してみましょう。

VRIO分析とは?

経営戦略を有利に展開させていく理論のこと

VRIO分析は、1991年にアメリカの経営学教授であるジェイ・B・バーニーが提唱した経営資源(リソース)に基づく戦略論の代表的なフレームワークで、経営戦略策定などで活用されます。

VRIO分析は、経営資源を「価値(Value)」「希少性(Raeity)」「模倣可能性(Imitability)」「組織(Organization)」の4つの視点に対して競争優位の状態を段階的に評価することで、企業が保有する経営資源が業界の競争における優位性を見極めます。

VRIO分析を行う目的

VRIO分析の目的は、企業の経済資源の価値の高さを確かめ、業界の競争において有利に経営戦略を練ることです。4つの項目を適正に評価することで、企業内部に潜在する競争優位性を抽出し、競争優位性が高い経済資源を発見、市場の拡大や顧客満足度の上昇、企業ブランド力を高めるなどの効果が期待できます。

VRIO分析の作成方法

作成方法①使用するツールを選択する

それでは、VRIO分析の方法を紹介します。分析には「一覧表」もしくは「フローチャート」の2つのツールうちどちらかを選ぶ必要があります。メリット・デメリットを理解したうえで目的に合わせたVRIO分析を行いましょう。

一覧表でVRIO分析を行う場合、一つの経営資源に対し4項目すべてを評価し、競争優位の状態を分析していきます。分析に時間がかかりますが、今後の対策において有効な情報が豊富に抽出ができるため、細かく分析したいときに有利なVRIO分析です。

フローチャートでVRIO分析を行った場合、「価値→希少性→模倣可能性→組織」の順で評価を行います。評価する際は、「Yes」もしくは「No」で判断しますが、Noと判定がされた項目がでた時点でそれ以降の項目の評価をしません。

一覧表に比べ短い時間で分析できるため、複数の経営資源を分析する際に採用されます。ただし、情報量が少ないので注意しましょう。

作成方法②経済的な価値(Value)を評価する

VRIO分析で一番最初に行う評価は、「経済的な価値(Value)」です。企業運営のなかで、経済資源が高いポテンシャルを保有していても、経済的な価値や社会的価値が生まれなければ意味がありません。

そのため、最優先で経済的な価値を評価します。評価のポイントは、組織だけでなく顧客はもちろん、社会全体に利益をもたらしているです。

作成方法③希少性(Rarity)を評価する

2番目に分析する希少性(Rarity)は、価格以外の部分で勝負する際に重要なポイントとなるため、分析するときには外すことのできない評価項目です。

経済市場では、非常に珍しく希少価値が高いもの対して大きな注目を集めます。そして、この希少価値が高いものほど、顧客やユーザーの購買意欲が高まるため、VRIO分析でも重要性が高い項目です。

作成方法④模倣可能性(Imitability)を評価する

経済市場においては、ビジネスモデルやプロジェクトを意図的に模倣される可能性があります。そのため、いかに模倣されにくく長期にわたり持続して競合できるビジネスモデルであるかという模倣可能性(Imitability)分析が必要です。

模倣可能性は評価が高いほど持続性が高く、市場において長期的に唯一の存在となりえます。模倣可能性は、「模倣困難性」と呼ぶこともあり、リピーター率の増加、新規層の獲得、市場シェア拡大などにもつながる評価基準です。

作成方法⑤組織(Organization)を評価する

組織(Organization)を評価する目的は、経済的価値・希少性・模倣可能性の3つの項目を満たし、経済資産のポテンシャルを保ったまま、活用し続ける組織かを評価します。

VRIO分析で組織を評価するのは、他の3つの要素をクリアしているにも関わらず業績が伸び悩む場合、組織形態や運営の仕方に問題がある可能性があるからです。

組織の問題をクリアすることで、評価したい経済資産をしっかりと活用できるだけでなく、眠っている経済資産を掘り起こせる可能性もでてきます。

VRIO分析の主な問題点

問題点①社会的価値の評価基準や判定が曖昧になりやすい

VRIO分析では、経済的価値に着目し、組織にもたらす価値を数値化することで評価基準として数値化し判断します。しかし、顧客・ユーザーなど社会全体にもたらす社会的価値は、数値化や可視化が難しいため、判定が曖昧になりやすいという問題があります。

その問題点を補うため、社会的価値を生み出しているものは何か、評価をどの程度にするか、などの社会的価値を評価基準を設定します。そして、VRIO分析にかかわる人にその基準を共有させて適正な判断を行う工夫が必要です。

問題点②ターゲットの範囲設定が難しい

VRIO分析は、企業の経済資産価値を測るにはわかりやすい分析方法です。ですが、企業の事業拡大を狙う為のターゲットの設定範囲については絞り難いという欠点があります。

なぜなら、顧客やユーザーが購買意欲は、よりリーズナブルな商品、より希少価値が高く高価な商品、という相反するものです。この真逆ともいえるニーズは、一つの事業分野において同時に存在するケースは多々あります。

しかし、ターゲットを絞らずにVRIO分析を行うと、組織への負担増加や効率性の低下というデメリットが出てくる可能性や、VRIO分析期間の長期化、経営資源の浪費というリスクも生み出してしまうかもしれません。

そのため、事業の特性、ニーズ、市場状況など様々な条件を照らし合わせた上で、自社の企業分析にVRIO分析が適しているかを事前に判断する必要があります。

問題点③組織のフットワークを大幅に低下させる可能性もある

VRIO分析にこだわり続けてしまうと慎重になりすぎてしまい、組織のフットワークを大幅に低下させる可能性もあります。せっかく分析したVRIO分析を無駄にしないためにも、競争優位性の維持向上を図るためにいくつかの要素を意識的に高めていきましょう。

意図的に高めていく要素とは、「市場全体を見渡せる俯瞰的視野」「顧客ニーズ変化を敏感に察知するマーケティング力」「フットワーク性の低下を防止する決断力と行動力」など、安定的で柔軟性・流動性が高い組織づくりを行うことです。

VRIO分析の企業事例

企業事例①トヨタ自動車

VRIO分析の企業事例としてよく挙げられる、大手自動車メーカーのトヨタのVRIO分析を紹介します。まず、価値は柔軟な対応力で質の高い自動車を生産することです。

そして、希少性はロボット共存型工場で他社との差別化。模倣可能性は独自技術を数多く保有しており模倣ができない点を指します。組織は海外に工場を移しても可動できる組織づくりを構築、という結果になりました。

企業事例②ユニクロ

大手アパレル企業ユニクロ(ファーストリテイリング)のVRIO分析は、以下のような結果がでています。まず、価値は低価格かつ、洗練されたデザイン。そして希少性は企画・製造・販売の機能をすべて網羅したSPAモデルの構築です。

そして、模倣可能性は、高品質なウェアを提供のために模倣できないSPAモデルを構築。組織は高品質低価格なウェアを提供するためのスタッフ教育というVRIO分析結果がでています。

企業事例③フォード・モーター社

VRIO分析が誕生したアメリカの大手自動車メーカー、フォード・モーター社もVRIO分析結果は以下のようになっています。

価値は一般大衆でも自動車を手に入れられる価格であること。そして、希少性は他社の追随を許さない圧倒的な低価格設定。模倣可能性で言うと、幹部・技術者による試行錯誤の結果から生まれた製品。組織は生産車種の限定やベルトコンベア式の方式の採用、というVRIO分析の結果になりました。

企業事例④セブンイレブン

コンビニ業界大手であるセブンイレブンのVRIO分析を見ていきましょう。価値は、コンビニ業界最大手であること。そして、希少性は国内最大級の流通事業者である点でしょう。

模倣可能性については、他社が模倣できないような収益を業態別・地理的に分散させている点です。そして、組織は全国のいたる場所で店舗を構えられる強みを生かし、プライベートブランドを展開する組織を構築という、他の企業事例を紹介したように他社では模倣できない強みを持っています。

VRIO分析を実施して企業の競争優位性を高めよう!

VRIO分析は、企業のポテンシャルを掘り起こすだけでなく、リスクマネジメントとして活用できる面も持っています。また、競合企業との差別化を測ることができるため、企業独自の強みを発掘すること可能性があります。

他にも、VRIO分析と合わせて活用されるフレームワークがいくつもあります。分析の目的に合わせながら、他の分析方法と一緒に活用し、企業優位性を高めて持続可能性の高い経営資産を作り上げていきましょう。

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