事業ドメインとは?意味や設定方法・事例やメリットも紹介!

事業ドメインとは?意味や設定方法・事例やメリットも紹介!

事業ドメインの意味や設定方法などを解説!

企業戦略の中で事業ドメインを明確にすることが重要です。企業が継続して成長していくためにも、事業ドメインを設定しましょう。事業ドメインの意味や設定方法、メリットについて解説します。事業ドメインの成功例もあわせて紹介するので参考にしてください。

事業ドメインの意味と類義語との違い

事業ドメインの言葉の意味

事業ドメインの言葉の意味から確認していきましょう。事業ドメインというのは「会社が事業において活動する領域」のことです

つまり、会社がどういったものを提供し、誰にどのように提供するのか、ということを定めることを意味しています。事業領域を明確にすることで、会社の将来性にも大きく関わってくるのです。これを設定することで会社が活動する最適な市場が決まってくるでしょう。

市場セグメンテーションとの違い

他にも事業ドメインに近い言葉があります。たとえば市場セグメンテーションという言葉がありますが、こちらは企業が商品やサービスを展開するときに、対象顧客の調査を行い、事業展開を行うことを意味します。

これは現代の顧客や消費者のニーズが多様かしていることが関係しており、より効率的に事業展開を行うための戦略なのです。事業ドメインは自ら市場に働きかけを行って成長機会を発見するものであり、市場セグメンテーションは市場のニーズにあわせて展開を行います

企業ドメインとの違い

事業ドメインが個別事業ごとの領域を決めるのに対して、企業ドメインは企業全体で行う領域のことを意味します。そのため、事業ドメインは企業ドメインの中に存在するものといえるでしょう。また、単一の事業のみを行っている会社の場合は、事業ドメインと企業ドメインは同じ意味合いになります。

事業ドメインの主なメリット

メリット①ビジネスの方向性が明確になる

では、事業ドメインを設定するメリットについて確認してください。事業ドメインを設定することでビジネスの方向性が明確になります。

事業がどのような領域を扱うか決めることで、経営資源の投入がはっきりとします。事業ドメインを設定しないままだと、余計な投入や分散が起きてしまう可能性があるのです。働く社員にとってもビジネスの方向性が明確になることで、働きやすいこともメリットといえるでしょう。

意思決定が統一されれば、既存や新事業に取り組みときに人員や資材を効率的にスピーディーに投資できます。日々新しい技術やサービスが誕生している中で、方向性を明確にし、意思決定を統一することは非常に重要です。

メリット②競合相手が明確になる

しっかりと事業ドメインを設定することができれば、競合相手が明確になります。事業ドメインを設定していないままでは、どの企業が競合相手なのかはっきりしないままになります

同じような商品やサービスを扱っていても、実際は狙っている客層が異なることがあるのです。逆に事業ドメインを設定すると、全く別の競争相手が確認されることもあり、事業展開を見直すきっかけにもなります。

メリット③商品価格を上げることができる

事業ドメインを設定することで、商品価格を上げることができます。その理由は、ビジネスの方向性を明確にすることで、顧客も商品に対するメリットを感じることができるからです。

つまり、顧客が商品をより必要とするため需要がアップし、価値を高めることにつながります。商品の需要に見合った質にすることで、商品価格を上げて需要と供給のバランスを適切に保ちましょう。

メリット④企業の成長に繋がる多角化の実現

さらに企業の成長にもつなげていきましょう。事業の領域を明確にしていく中で、適切に必要なところに資源を投入し、多角化も実現できます

そういった多角化を進めていく中では、競合相手を明確にし、効率よく経営していくことが必要になります。専門性に特化することも選択肢の一つですが、企業の成長につながっていく多角化を実現するなら事業ドメインの設定は必須といえます。

事業ドメインの設定方法と活用可能なフレームワーク

設定方法①事業状況の明確化

具体的な事業ドメインの設定方法を確認しましょう。まずは、事業状況を明確にすることが大切です。どのような顧客が存在し、客層はどうなっているかを再確認してください

必要なところに投資を行えているかを確認し、無駄なところはコストカットを行うことも重要です。自社のオリジナリティを明確化できれば、どういった分野でさらに働きかけを行っていけば良いかがみえてきます。

設定方法②方向性を検討する

事業状況を明確化できたら、方向性を検討しましょう。この方向性を決定する上では、既存の市場をメインにするのか、新規市場で展開を行うのかを決定してください

既存と新規市場のどちらで展開するかによって、事業の方向性は大きく異なります。事業の多角化にも関係する部分であり、様々な情報を収集して決断しましょう。

設定方法③整合性の調査

方向性を決定する中で、事業の整合性の調査も行ってください。事業ドメインを設定したことでどういった効果が得られるのかを確認し、現在から将来にかけての展開を確認しましょう

顧客、機能、技術の3つのフレームワークから整合性を検討する必要があります。このフレームワークについては次の部分で詳しく解説していきますが、3つの軸がバランスよく相互作用をもたらすことが事業の成功につながります。

設定方法④取締役会の開催と承認決議

事業ドメインの最終決定として取締役会を開催して、承認決議を行ってください。事業の投資先として、適切な事業ドメインであるかを検討します。

会社として経営資源を投資するのに相応しいと確認されれば、新しい事業ドメインとして決定です。得られるメリットを取締役会で説明し、目的を理解してもらえるように入念な準備を行ってください。

事業ドメインを決定する上では、自社の再定義が必要になることがあります。自分たちの企業が何をする企業なのかを見つめ直すのかは、大きな転換になるでしょう。それだけに取締役会において重役を納得させられるようなデータを用意できるかは、担当者の手腕にかかっています。

フレームワーク①顧客

事業ドメインの活用可能なフレームワークも確認しましょう。フレームワークというのは「枠組み」のことです。事業ドメインの設定の際に、フレームワーク分析を活用しましょう。

まずは、顧客の軸を決定してください。どのような人をターゲットにするかを決めることで枠組みを決めやすくなります。この方法を利用する際は、顧客の年齢や趣味だけでなく、行動パターンなども細分化しましょう。ここが明確になれば、どういった顧客に商品を提供するのか枠組みが決定できます。

事業のシェア拡大や新規顧客の開拓にもつながる部分なので、商品の価値を発揮できる場所を見つけましょう。より多くのデータを収集することができれば、情報を細かく分析することができるのでおすすめです。

フレームワーク②技術

自社の技術が他の企業に負けていない能力を明確化しましょう。ビジネスを行う上での能力を把握し、同時に企業の組織としての能力も確認してください

商品やサービスの差別化を行うことができれば、顧客にとって需要の高いものであることになります。競合他社の情報も収集しながら、自社の技術力を見つめ直しましょう。

この技術に関するフレームワークをはっきりとさせられれば、将来的な事業の多角化やイノベーションの創出にもつながります。自社の技術から何を提供するかを設定し、事業ドメインを決めてください。

フレームワーク③機能

上記の2つが明確化されると、顧客にどのような価値を提供できるか、という機能面の枠組みが設定できます。顧客にとって自社の商品やサービスがどのように役立っているのかに関して、情報収集を行いましょう。

機能の部分が明確化されれば、商品の高機能化や高価格化にも踏み切れます。自社にとって長い付き合いになり、利益をもたらしてくれる優良顧客の獲得にもつながるでしょう。事業ドメインにおいて、これらの点を考慮しながらどのように提供するかを検討してください。

事業ドメインの成功事例

成功事例①セブンイレブン

実際に事業ドメインが成功した事例を確認していきましょう。多くの人が日常的に利用しているセブンイレブンは、事業ドメインの成功事例といえます。

もともとはアメリカ発祥のコンビニエンスストアチェーンを日本に取り入れる上で、「近くて便利」ということを事業ドメインとして設定しました。日本のセブンイレブン第一号店となったのは、東京の豊洲にあった酒屋店でした。

決して小売業の店舗として立地条件の良い場所では無かったにも関わらず、顧客のニーズに合った商品展開を進めていくことになります。当時は現在のように小ロットで商品を取り扱ってくれる業者がなく、問屋に協力してもらうところからスタートしました。

一人暮らしの若者や主婦が、どういったものが必要とされているかを調査し、3000近くあった商品の毎日の売れ行きを調べたのです。次第にコンビニというお店が大きなサイズではなく小さなサイズの洗剤などが売れており、袋麺ではなく、お湯を入れるだけで作れるカップ麺が好まれていることが確認されました。

早朝や深夜帯の客層が求めるものを明確化し、地域それぞれにあった商品やサービスを取り扱う、という事業ドメインは見事に成功したのです。単純に物を売るのではなく、「地域の人が求めているものを欲しい時に買える」ことの独自性は現在も継続した事業ドメインになっています。

成功事例②タニタ

計測機器メーカーであるタニタに成功事例も確認しましょう。タニタの事業ドメインは「人々の健康を作る」というものです

つまり、計測機器メーカーとして健康作りに対して積極的にアプローチしていくことを決断しています。その一つが「タニタ食堂」です。計測機器メーカーと食事サービスという一見関連性の無さそうなものから独自性を生み出しました。

もともと、タニタ社内に健康の維持や増進目的とした社員食堂があり、それがテレビなどのメディアを通して注目を集めるようになったのです。

計測機器メーカーのタニタの社内で提供されている食事メニューということもあり、健康意識の高い顧客から「自分たちも食べたい」と依頼が来るようになりました。丸の内にオープンした「丸の内タニタ食堂」は大ヒットし、改めてマーケティングを行って、事業ドメインを見事に成功させています。

成功事例③NEC

電機メーカーであるNECは、事業ドメインとして「C&C」というものを設定しています。これは「コンピューター&コミュニケーション」のことで、通信事業だけでなく、コンピューターや半導体事業に進出することにつながりました

成功事例④モスフード

ハンバーガーチェーンを展開するモスフードは「安心安全で高品質な商品を提供する」という事業ドメインを設定しました。

ジャンクフードのイメージが強かったハンバーガー商品に対して、安心できる高品質な食材を調達し、提供することで成功しました

これは競合他社であるマクドナルドなどが低価格帯で販売しているのに対し、価格は上がっても満足してもらえる商品を提供することで顧客を獲得できる、という事業ドメインの設定がうまく噛み合った事例といえるでしょう。

成功事例⑤ヤナセ

ヤナセはBMWやメルセデス・ベンツなどの高級外車を輸入販売している企業です。ヤナセの事業ドメインは「自動車はつくらない。自動車のある人生をつくっている」というものになります

高級外車を購入するメリットを明確化し、ターゲットを富裕層に絞りました。同時に自動車を開発する分野には進出せず、商品を提供することをメインにしたのです。事業ドメインを設定することで、会社の方向性をはっきりさせた事例になります。

事業ドメインを設定して企業の成長に繋げよう!

事業ドメインの意味や設定方法について解説しました。事業ドメインは事業領域のことを意味しており、事業の方向性や経営方針に大きく関係する事柄です。

顧客のニューズを調査し、事業ドメインを設定することでオリジナリティを持ち、顧客にとって需要の高い企業に成長できます。様々な企業が存在する中で生き残るためにも、事業ドメインを明確にし、誰にも負けない存在にしましょう!

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