スパン・オブ・コントロールとは?決定の要因と適正人数の考え方

スパン・オブ・コントロールとは?決定の要因と適正人数の考え方

スパン・オブ・コントロールで適切な組織編成をしたい!

みなさんは「スパン・オブ・コントロール」という言葉をご存知でしょうか?スパン・オブ・コントロールとは、一人の管理者が管理できる部下の人数や業務領域のことを指します。

この上限を超えた人数の部下をマネジメントしようとすると、部下に対するケアが行き届かず、部下を孤立させてしまう可能性が高まります。そこでこの記事では、スパン・オブ・コントロールを決定づける要因や拡大方法、適性人数の考え方について解説します。

スパン・オブ・コントロールとは?

まず、スパン・オブ・コントロールとは何かについて紹介します。課題解決型組織やオペレーション型の組織との関連性についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

スパン・オブ・コントロールの言葉の意味

スパン・オブ・コントロールとは、直訳で「コントロールできる範囲」という意味であり、マネージャー(上司)が直接管理できる部下の人数を定義する考え方を指します。もともとこの考え方は軍隊を構成するための考え方であったとされています。

一般的にマネジメントできるとされている人数

スパン・オブ・コントロールにおいて、一般的にマネジメントできるとされている適正人数は5~8人、最大でも10人程度と言われています。もちろん、管理職の業務内容や仕事量によって適正人数は多少前後するでしょう。

AmazonのCEOのジェフ・ベゾス氏も「2枚のピザ理論」という、チームの最適な人数は2枚のピザを分け合える程度であると提唱しています。また、その他の研究においても「5~7名のチーム編成が最適である」とする研究結果が多く発表されています。

スパン・オブ・コントロールの人数を決める理由

スパン・オブ・コントロールの人数を決める理由は、適切な人数を設定することによって、管理職が部下をまとめて目標の達成に向けて指揮できるからです。組織内のメンバー間で連携が多い場合は、管理職のマネジメントを補助し合うことができるので、管理職の負担は少なくなくて済みます。

しかし、組織間で連携が少ない場合は、管理職はメンバー一人ひとりに対応しなければなりません。そのため部下に権限を与えれマネージャーの負担を減らすことが重要です。

課題解決型組織との関係性

課題解決型の組織とは、明確な解がない課題解決や創造が求められる組織です。課題解決型組織のスパン・オブ・コントロールの人数は少ない方が理想的であり、フラットな組織体系が求められます。

組織の人数や組織体制の階層が増えると、スムーズに意思疎通を行うことが難しくなるのでフットワークが重くなるのです。チームのメンバ―が意見を積極的に出し合って課題解決できるようなチーム作りをしなければなりません。

オペレーション型組織との関係性

オペレーション型組織とは、仕事の型が決まっているルーティンワークが求められる組織です。この組織は課題解決型組織とは異なり、スパン・オブ・コントロールの人数が多く、組織体制もある程度階層を作ることで組織がうまく機能します。コールセンターだったり、給与計算などを行うチームなどがこれに該当します。

スパン・オブ・コントロールを決定づける要因

続いて、スパン・オブ・コントロールを決定づける要因について紹介します。

要因①管理者の能力

スパン・オブ・コントロールの一つ目の要因は、管理職の能力です。当然ですが、管理職のマネジメント能力が高ければ高いほど、スパン・オブ・コントロールは大きくなります。

そもそもマネジメント能力とは、事務処理やスケジュール調整など業務に対する管理したり、管理者が部下に指示を出す際にも重要な能力です。マネージャーの能力レベルによって組織を管理する限界が変わってきます。

要因②部下の能力

スパン・オブ・コントロールの二つ目の要因は、部下の能力です。組織の中に業務遂行能力のレベルが低い部下がいると、その社員へのフォローなどが発生するため管理者の負担が増えてしまいます。

その結果、スパン・オブ・コントロールが小さくなってしまうのです。組織のメンバーを構成するときは、スキルの高い人を選抜することで管理者の負担を少なくすることが理想的でしょう。

要因③上司と部下の能力格差

スパン・オブ・コントロールの三つ目の要因は、上司と部下の能力格差です。いくら上司の能力が高くても、部下の能力が低ければスパン・オブ・コントロールが小さくなります。

部下の能力が低いことによって、上司は部下の面倒を見る機会が増えるため、本来の役割である管理業務に専念できない場合が多いです。上司と部下の能力格差がスパン・オブ・コントロールが小さくなる要因になると理解しておきましょう。

要因④権限の委譲度

スパン・オブ・コントロールの四つ目の要因は、権限の委譲度です。経営層や管理職の人間は、日常の定常業務をすべきではありません。

ルーチンワークを部下に委託することによって、本来の業務である意思決定や戦略の立案などに専念できるようになります。委譲度が高いほどスパン・オブ・コントロールが大きくなることを覚えておきましょう。

要因⑤業務内容の安定性

スパン・オブ・コントロールの五つ目の要因は、業務内容の安定性です。業務内容が安定しているほど、トラブルなどの例外的な出来事が起こりにくくなります。

もし例外的な出来事が起こった場合、通常は管理者が対応します。そのため仕事内容が安定している組織では、管理職の負担も軽くなるためスパン・オブ・コントロールが大きくなるのです。

要因⑥組織の成長速度

スパン・オブ・コントロールの六つ目の要因は、組織の成長速度です。ベンチャー企業などの成長企業は、会社の成長に伴って管理職の人数も多くなります。ただし、成長速度が大きいほど、経験値が少ないまま管理職に就くケースが発生しやすくなるのです。

そのため組織の成長速度が早いほど、スパン・オブ・コントロールは小さくなってしまう傾向にあります。マネジメント能力が高くなるまで経験を積ませるなど、管理者の育成も必要になるでしょう。

スパン・オブ・コントロールにおける適性人数の考え方

ここでは、スパン・オブ・コントロールにおける適正人数の考え方を全部で4パターン紹介していきます。

課題解決型組織の場合

課題解決型組織の適正な人数が何人かというと、4~7名程度が最も良いとされています。解決する課題の難易度が高いほど、組織の人数は重要になってきます。

課題解決型組織の場合、チーム内のコミュニケーション量が多いほど最適な解が出やすくなります。そのため、組織内のメンバーに情報認識の格差が起きないように注意しましょう。コミュニケーションのコストが少ない状態で意思疎通を図ることが大切です。

オペレーション型組織の場合

オペレーション型組織の場合、適正人数は最大で15名程度といわれています。その理由として、定常業務を行う組織では「進捗に遅れがないか」「イレギュラーが発生していないか」などの確認作業が中心なので、コミュニケーション量が少ないからです。

一つの組織で15名を超える場合は、組織内で階層を作ってコミュニケーションラインを絞る必要があります。大きな組織を作るためには、その階層を重ねたり並べたりして構成していくイメージを持つと良いでしょう。

プレイヤー型リーダーが組織を率いている場合

プレイヤー型のリーダーが組織の上に立っている場合は、あまり多くの人数をマネジメントさせないようにしましょう。このタイプのリーダーは業務推進力は高いのですが、組織内でコミュニケーションを図る能力などが相対的に低いことがあります。

そのため多くの部下を持たせるとコミュニケーション不全を起こっていまい、最悪の場合チームが機能しなくなるケースがあるので注意しましょう。

司令塔型リーダーが組織を率いている場合

司令塔型のリーダーが組織を率いている場合は、多くのメンバーをマネジメントさせても問題ありません。このタイプのリーダーは業務推進力は高くないものの、組織内の調整やモチベーションを向上させる能力が高いです。

むしろマネジメントする人数が増えることでチームのパフォーマンスがさらに高まることもあるでしょう。このうようにして、リーダーの資質を上手く見極めた上で組織を構成することが大切です。

スパン・オブ・コントロールの拡大方法

最後に、スパン・オブ・コントロールの拡大方法について紹介します。

拡大方法①権限委譲できる社員を育成する

拡大方法の一つ目は権限委譲できる社員を育成することです。権限委譲とは、上司の業務上の権限の一部を部下に譲渡することをいいます。

管理職にとって判断を下すという行為は責任が伴う仕事です。この権限を部下に譲渡することによって、マネージャーの業務負担は軽減され、マネジメントに専念できるため、スパン・オブ・コントロールが拡大します。そのため上司の権限の一部を引き受けられる社員を育てることが重要なのです。

拡大方法②業務のマニュアル化を進める

拡大方法の二つ目は業務のマニュアル化を進めることです。業務のマニュアル化を行っていないと、部下が上司に質問する頻度が高くなります。

そうすると上司は部下に手間を取られてしまい、本来の管理業務に取り組める時間が少なくなってしまうのです。そのため管理職が部下に指示を出す頻度を減らすためにも、業務のマニュアル化を進めましょう。

拡大方法③情報共有手段を改善する

拡大方法の三つ目は情報共有の手段を改善することです。上司と部下との間の情報共有には少なからず時間がかかりますよね。

そのため情報共有の手段を改善し、上司と部下の間で行われる情報のやりとりを効率化することが重要です。まずは情報共有ツールを導入し、社内の情報共有を効率化できるか試してみるといいでしょう。

スパン・オブ・コントロールで健全な組織運営を行おう!

ここまで、スパン・オブ・コントロールを決定づける要因や拡大方法、適性人数の考え方について解説してきました。スパン・オブ・コントロールを高くするためには、管理職が行う定常業務を部下に委譲することが重要です。

そのためにも優秀な部下を育てるマネジメント能力が必要になってきます。今回紹介したスパン・オブ・コントロールの拡大方法を参考にして、優秀な人材の育成に取り組んでみてください。

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