ポジショニング戦略とは?やり方や成功させるコツ・事例もチェック

ポジショニング戦略とは?やり方や成功させるコツ・事例もチェック

ポジショニング戦略の意味や成功させるコツを解説!

消費者のニーズが多様化する現代において、企業のポジショニングが重要になっています。自社の製品をより多くの人に理解してもらえることで、販売実績をアップさせていきましょう。そのためにポジショニング戦略のやり方や成功させるコツ・事例をチェックしてください。

ポジショニング戦略とは?

競争優位性を確立させるマーケティングプロセスのこと

ポジショニング戦略とはマーケティング戦略の一つです。「自社の製品が魅力的であるかを、他社との差別化を図りながらターゲットである顧客に示す」ことを意味します。言い換えれば競争優位性を確立させることが大きな目的の戦略です。

ポジショニング戦略の歴史

経営学者のフィリップ・コトラーはマーケティングの歴史を「マーケティング1.0~4.0」と定義しました。そして、ポジショニング戦略はマーケティング2.0に該当しており、1970年代から1980年代に主流になったと考えられています。

この時期はオイルショックによって世界中の物価情勢が大きく変動しました。日本も物価高になり、消費者主体の買い手市場へと変化したのです。この変化にあわせて企業は顧客ターゲットを明確にし、競争優位性を確立する必要が生まれました。

STP戦略との関連性

ポジショニング戦略を考える上でSTP戦略も重要な関係を持っています。STP戦略は「市場を細分化し、ターゲット顧客層を定めて競争優位性を確保することで攻略する」戦略です

ポジショニング戦略はSTP戦略の中で最後に位置する考え方になります。市場を細分化し、ターゲット顧客層を定めて、そしてポジショニングを確保するわけです。つまり、この細分化と顧客層を定めることをしっかりと行わなければ、ポジショニングも成功につながらないと考えましょう。

ポジショニング戦略を成功させる条件

ポジショニングを成功させるためには、ターゲットサイズが適切か、顧客に正確に伝わるか、共感できるか、企業理念などと整合性があるかが重要です

顧客に対してこういった条件をどのようにして伝えていくのかを検討しましょう。様々な方法を駆使して成功に導いていけるように、後ほど紹介する成功事例などを参考にしてやり方を話し合ってください。

ポジショニング戦略のやり方

ポジショニングマップを活用する

実際にポジショニング戦略を成功させるためのやり方を確認しましょう。まずは、ポジショニングマップを活用するやり方がおすすめです。

ポジショニングマップは自社の製品やサービスのポジションを決定するための方法で、競合他社などの立ち位置や業界構造などから判断します。4つの軸を設定して価格の高い・低い、機能性が高い・低い、という風に設定してみましょう。

そのマップに自社と競合他社がどの位置にあるか書き込んでください。価格の安さを優先している代わりに機能性が低い企業や、どのよう要素も中位持っている企業などが出てきます。このような可視化するやり方によって、自社の戦略を組み立てます。

ポジショニングマップの軸と組み合わせを決める

マップの軸の決め方として、縦軸と横軸は比例関係、独立性、相関関係があるように設定しましょう。自社の強みを最大限に発揮できる組み合わせもあれば、逆に弱い部分が出てくる設定のやり方もあるのです

このことを踏まえて、軸には商品やサービスの仕様、価格や品質、競合製品との関連性などを設置してみてください。

自社の立ち位置を決める

このやり方で考えるときに重要なのは、自社の立ち位置を決めることです。自社が有利になれるポジションを探し、競争優位性を確立できる方法を見つけましょう。

自社の立ち位置を決める上では、現在の業界の状態や将来性など様々な要因を考慮することが求められます。企業の多角化やグローバル化、消費者の価値観の多様化などが影響し、定期的にポジションを見直すことも必要です。

マーケティングミックスを実施する

ポジショニングを成功させるためにマーケティングミックスも活用してください。マーケティングミックスは「最も望ましい結果を得ることを目的として、複数のマーケティングを組み合わせて行う戦略」です

その中で製品、価格、流通、プロモーションの4要素から分析する4P分析が必要になります。この4つの要素から戦略を立てて、消費者や市場の製品を効率的に届けるためのやり方を導き出しましょう。

また、顧客価値、顧客コスト、顧客にとっての利便性、顧客とのコミュニケーションの4つの要素で分析する4C分析もおすすめです。消費者の視点になって分析するもので、4P分析とあわせて活用することで両方の視点から戦略を組み立てられます。

ポジショニング戦略を成功させるコツ

顧客の視点に立ってポジショニングを決める

ポジショニング戦略を成功させるためのコツを解説します。重要なポイントとして顧客の視点に立ってポジショニングを決めることが必要です。消費者の価値観が多様化している現代において、それぞれが重視しているポイントを把握しましょう

特に環境問題に関する関心が高まっており、そのことが購買行動に影響をもたらすようになっています。また、SNSなどのプロモーションはもちろんですが言動も購買行動に関係するようになりました。

様々な言動を消費者はチェックしやすい時代になったため、企業が掲げる理念などと整合性が無ければ顧客獲得につながらない時代になっているのです。そういった顧客の視点を考えながら正しいポジショニングを行いましょう。

ポジショニングの切り口や購買決定要因を把握する

ポジショニングを成功させるコツとして商品、サービス、人、イメージの4つの切り口を確認してください。商品の品質やデザイン、消費者が注文してから届くまでの過程やアフターフォローなどが含まれます。

また、店頭におけるスタッフの対応や商品などを利用したときに得られる体験や使用感も購買決定の要因になります。自社の製品においてどのような部分が購買決定の要因になっているか把握しましょう。このことが競合製品に対しての優位性を生み出すことにもつながるのでおすすめです。

差別化戦略と混同しないようにする

差別化戦略とポジショニング戦略を混同しないことも成功の秘訣です。ポジショニングは顧客の中で自社の製品の立ち位置を差別化するプロセスになります。そのため、商品やサービスに付属する機能や価格に差をつけるのが目的ではありません

差別化戦略はあくまで商品やサービスを中心にするため、最終的には価格競争がメインになるのです。ポジショニング戦略は高価格の商品であっても、消費者のニーズに合致していれば成功につながります。こういった優位性をどのように消費者に訴えかけていくかが成功のコツです。

ポジショニング戦略の具体例

具体例①ファストフードの場合

ポジショニング戦略の具体例を確認しましょう。それぞれの業界やモノのあわせたやり方で取り入れてみてください。ファストフードの場合は価格帯と雰囲気を軸にポジショニングマップを設定しましょう。

マクドナルドは価格が安いですがにぎやかで家族連れの多い印象です。逆にフレッシュネスバーガーのように高級志向のファストフードでは落ち着いて一人で食べやすい雰囲気になっています。

このようにハンバーガーチェーンの中でもポジショニングによって、それぞれの優位性が生まれています。このようにポジショニング戦略を使うことで、どのような方法で優位性を生み出せばいいか見えてくるのです。

具体例②ファストファッションの場合

「流行の最先端をいち早く取り入れて、低価格で展開するファッション」をファストファッションといいます。このファストファッションに該当するのはユニクロなどが有名です。こちらもポジショニング戦略と取り入れた方法で分析してみましょう。

ユニクロのメリットはシンプルで安いところです。それに対して、ZARAなどはデザイン性重視ですが価格は高くなります。その間に位置するのがH&Mです。消費者の年齢層なども異なっており、それぞれがうまく棲み分けをしているのが確認できます。

特にユニクロは年齢を問わない商品展開を行っており、気軽に購入できる点が成功している理由です。ファッションブランドを展開したい場合は、こういった方法で検討を行ってください。

具体例③調理鍋の場合

新型コロナウイルスなどの影響もあって、自宅で食事を作る人も増えました。そういった中でキッチン用品も注目が集まっています。その中で調理鍋をポジショニング戦略によって分析しましょう。

調理鍋ではティファールのような軽くて量産型のタイプもあれば、バーミキュラのように希少だけど重さが気になるものもあります。高い技術力と密閉性は魅力ですが、少しハードルが高いのがバーミキュラの悩みどころです。

その分、ティファールは使いやすく、価格的にも扱いやすいのが魅力といえるでしょう。それぞれの棲み分けが優位性を生み出している例であり、戦略展開の方法として参考にしてください。

ポジショニング戦略の成功事例

成功事例①アサヒビール株式会社

具体例に続いてポジショニング戦略の成功事例を確認していきましょう。ビールメーカーであるアサヒビール株式会社もポジショニング戦略によってヒット商品を生み出しました。

その商品というのがアサヒビールスーパードライです。1980年代に登場した本商品ですが、消費者の「ビールは苦くて思い」苦手意識と「すっきりとした爽快感のあるビールが飲みたい」というニーズを取り入れた商品を開発しました。

まだ当時は珍しかった缶主体のパッケージデザインを取り入れて、競合他社が販売していないゾーンの商品を投入したのです。業界の常識にとらわれない方法で商品を開発し、消費者の求める商品を販売して成功した事例になっています。

成功事例②レッドブル

清涼飲料水メーカーであるRed Bull GmbHが販売するレッドブルも、ポジショニング戦略を成功させた事例です。自社のレッドブルをどういうときに飲むのか、というイメージを強くプロモーションしました。

特に「レッドブル、翼を授ける。」というキャッチコピーとCMをうまく使って、ユーモラスな方法で商品のイメージを消費者に根付かせました。エナジードリンクという商品に馴染みがなかった人でも、元気がほしいときに飲む商品であることを理解させ、栄養ドリンクとの棲み分けも成功しています。

成功事例③牛丼チェーン店(吉野家・すき家)

牛丼チェーンの吉野家とすき家も同様の方法で優位性を生み出しました。吉野家は働く男性をターゲットにし、「早くて安くてうまい」を徹底的にアピールしたのです。その後、すき家は女性やファミリー層をターゲットにし、メニューもチーズ丼などバリエーションの豊富さで独自性を生みました

成功事例④大塚製薬株式会社

ポカリスエットを販売する大塚製薬株式会社も成功事例として参考になります。製薬会社として運営している中で、スポーツ飲料という新しい分野を開拓したのです。

しかし、アクエリアスなどが競合他社から販売され、自分たちのポジショニングが脅かされる状態になりました。その中でポカリスエットを「健康に良い清涼飲料水」として、改めて消費者にイメージ付けを行ったのです。逆にアクエリアスはスポーツ用の飲料としてイメージを強めました。

成功事例⑤花王株式会社

花王株式会社は消費財科学メーカーです。キッチン用品などを中心に販売している花王ですが、消費者の健康志向に注目してヘルシア緑茶を販売しました。キッチン用品などのイメージが強かった花王が飲料系の商品に参入するのは大きな驚きだったかもしれません。

そもそも、すでに緑茶では様々な人気商品が存在しており、そこに新規参入するのは難しい試みでした。その中で「肥満に悩む中年男性」にターゲットを絞ったことで成功をおさめたのです。

成功事例⑥株式会社資生堂

化粧品などを手掛ける株式会社資生堂ですが、1980年代にシーブリーズが大ヒットしました。しかし、時代の変化とともにマリンレジャーの人気が下がり、日焼けなどのイメージがマイナスになってしまったのです。

そこでポジショニング戦略によってシーブリーズのターゲット層を変更して、女子高生などの若い女性をメインにしています。爽快感のあるボディケア商品として、マリンレジャーなどの非日常ではなく、学校生活などの日常を使うものとしてポジショニングを変更して成功しました。

ポジショニング戦略はマーケティングに必要不可欠!

ポジショニング戦略の意味や方法について解説しました。この方法を取り入れることによって、新規参入や既存商品の再ブレイクを狙うことができます。自社商品やサービスのポジションを再確認し、優位性や独立性を強めていきましょう。

ビジネスカテゴリの最新記事