理念経営や経営理念とは何か知りたい!
企業を運営していく上で理念経営や経営理念をしっかりと持つことが求められます。しかし、理念経営と経営理念の違いやその意味を正しく理解できていないこともあるのです。
企業の姿勢を外に見せるため、そして働く社員のためにも理念経営や経営理念を正しく設定することが重要になります。自社の考え方や姿勢を示すものとして理念経営や経営理念について確認していきましょう。
理念経営とは?
理念経営の言葉の意味
理念経営というのはビジョナリー経営、と表現されることもあります。理念を経営のメインとして掲げて、それを実現するのを目標に経営する考えです。企業における文化づくり、事業づくり、人や組織づくりを行うことでそれを達成することができます。
そしてこの考えは1994年に出版されたビジネス本「ビジョナリー・カンパニー」から生まれたと考えられています。こういったビジネス本から知識を得て、実践することも重要です。ビジネス本も初心者的なものから哲学的なものまで、レベルも様々なので色々とチェックしてみましょう。
経営理念との違い
似た言葉として経営理念というものがあります。広義的には意味は同じですが、経営理念を重視する方法が理念経営と考えましょう。つまり、経営理念が企業の経営目的などを明文化するもので、それを追求していくことが理念経営にあたります。
企業理念との違い
企業理念も理念経営や経営理念とほぼ同じ意味です。企業理念の場合は創始者や創業者の考えがメインと考えられています。経営理念の場合はそういった創業者の考えを時代や状況、そして受け継いだ人間が新しく設定するものと考えましょう。
社是や社訓との違い
社長室などに大きく飾られていることが多い社是は「会社の経営上の方針」と定義されています。同じく社訓は「企業や従業員が守るべき規範を定めたもの」です。
こちらも経営理念や企業理念に近いものといえるでしょう。言い換えれば、そういったものを短く分かりやすくまとめたものが社是や社訓にあたるともいえます。
理念経営や経営理念を掲げる主なメリット
メリット①個々の意味を束ねて成果を高めることができる
理念経営や経営理念は企業活動の中でどういったメリットがあるのでしょうか?理念経営や経営理念を掲げるメリットを知り、自社を成長させるために活用していきましょう。
理念経営におけるメリットは、個々の意味を束ねて成果を高められることです。それぞれの考えや戦略を束ねることで、意思統一することにつながります。バラバラになっているよりも一つに集約して力を注げる状態は効果を出しやすいです。
メリット②企業株価の上昇率が高くなる
正しい理念経営や経営理念を設定することで、企業価値を高めることにつながります。明確で分かりやすい理念経営は、企業のイメージを想像しやすく、世間に対してアピールするときの大きなメリットになるのです。
会社のHPやパンフレットに理念経営を明記し、それが分かりやすいものであれば読み手に浸透させられます。また、自社のことを説明するときに理念経営が明確に設定されていれば、すぐに伝えることができるのでおすすめです。
メリット③優秀な人材の維持と確保に繋がる
人口減少は人材不足に大きな影響を与えています。企業はそういった中で優秀な人材を確保することに力をいれていますが、なかなか簡単なことではありません。
就職希望者が自分が理想とする会社を探す時に、理念経営を明確に表記しているところは重要な判断材料になります。社員も自分が働いているところが理念経営を設定し、それを実現する努力に信頼感や安心感を得るのです。
こういった理念経営は、優秀な人材を維持することや確保することにつながります。満足度を高めるためにも理念経営は重視することをおすすめします。
メリット④経営戦略や進むべき方向性の判断基準になる
経営理念や理念経営があることで、従業員はそれを会社の目標や考えとして方向性の判断基準にすることができます。基本の軸の部分がしっかりと提示されていることで、ビジネスにおいて方向性を定めやすいのは大きなメリットです。
メリット⑤モチベーションの維持や向上に繋がる
しっかりと理念経営がうまくいっていると、社員のモチベーションを維持し、向上させられます。社員同士の絆を強め、一致団結することにもつながるでしょう。
また、仕事をするときの判断基準としても使えるため、自主的に行動することを支えます。理念経営を元にそれぞれが個別の目標を設定することもできて、結果的にそれが企業全体を盛り上げることもメリットになります。
理念経営の基本的な考え方
理念経営の考え方①インナーブランディング
改めて理念経営の基本的な考え方をチェックしましょう。様々なメリットがある考え方ですが、ビジネスで活かすためには、ビジネス本などで学びながらしっかりと実践していくことが重要になります。
理念経営に関する考え方は、ビジネス本などではインナーブランディングの重要性が掲げられています。インナーブランディングというのは「企業文化づくり」と表現される言葉です。
どの企業もそれぞれの歴史があり、文化が存在します。そういったものはすぐに築き上げられるものではなく、時間が必要です。インナーブランディングを行う上での重要な3つの要素を確認しましょう。
理解フェーズ
まずは理念経営のために、社員それぞれが自分を知り、理解することが求められます。自分を理解していくなかで企業の理念経営との共通点が見つかることが理想的です。
共感フェーズ
自分のことを理解できたら、次は一緒に働く仲間や組織のことを知り、共感につなげていきましょう。理念経営を構築していく上で、それぞれの仲間が支え合い、尊重することが重要です。
一人では達成できない目標も仲間と協力し合うことで成し遂げられます。企業が理念経営を行っていく中で、従業員の考え方や目的をサポートするようなシステムづくりも必要です。理念経営がうまくいっていれば、チームとしての動きも自主的で活発になるので実践してください。
実践フェーズ
実際に個人や仲間、組織の絆が高まったから、理念経営をさらに積極的に促していきましょう。理念経営においては、理念を実行に移せた人のエピソードを披露したり、人事評価や表彰することもおすすめです。
そして、この実践されたものを継続して、より理念経営のレベルを高めていきましょう。こういった繰り返しが強い企業に育て上げて、売上や成功体験を増やしていきます。
理念経営の考え方②商品・事業ブランディング
理念経営では事業づくりも重要です。商品や事業ブランディングを行っていくことで、理念を実践することにつながっていきます。
理念を共有できていることで事業の一貫性を生み出し、価値を高めることができます。顧客のニーズを理解する効果もあり、競合他社との差別化も行えるので注目してください。
使命や理念に基づいたストーリーづくり
こういった考え方を実践するためには、商品に使命や理念に基づいたストーリーづくりを行いましょう。商品にストーリーが生まれることで、買い手も興味を持ちやすくなります。
どういった願いや目的でその商品が作られたかを知ることで、選択するときの判断材料になるのです。ありきたりなストーリーは逆にデメリットになることもありますが、企業側の理念が丁寧に詰め込まれているものは共感を生みやすくなります。
ブランドパートナーの設定
ブランドパートナーというのは、そのブランドの理想的な顧客のことを意味します。自分たちの経営理念によって生み出された商品を「どういった人に購入してほしいのか」を考えることは大切です。
ブランドパートナーと価値を創造する
自社のブランドをよく機会してくれる顧客は、一緒に商品を成長させていくパートナーです。一時的な関係ではなく、長く付き合っていくことになる関係性なのでアンケート調査も行ってみましょう。
商品を提供するだけの一方的なものではなく、顧客からの意見や要望を取り込んで、より価値を高めることが求められます。時代の変化によってブランドパートナーの価値観も変わっていくため、そういったものに柔軟に対応できるようにしてください。
理念経営の考え方③採用・育成ブランディング
採用や育成は企業において難しい課題です。ビジネス本などでも、どういった採用や育成を行っていくかをメインにしているものも多く見られます。理念経営を進めていく上で、そういった人や組織づくりに注目していきましょう。
事業戦略や人材戦略を立てる
理念の実現に向けて、事業戦略や人材戦略を立ててください。理念経営において重要なのは単純な人数確保ではなく、「理念を共感する人材を集めて育てること」がポイントになります。
企業がどのように事業を展開していくか、そしてそのために必要な人材はどういった人かをリストアップしていきましょう。
採用戦略や育成戦略などを立てる
現在の社員にどういった人材がいるのかを確認し、新しく必要な社員を採用していきましょう。育成戦略を行う上では短期的なものから長期的なものまで設定することがおすすめです。また、人事とも連携して求めている人材を明確に伝えるようにしましょう。
優秀な人材を採用することも大切ですが、どんなに優秀な人も入社後に育成戦略がしっかりと組み立てられていないと育ちません。理念を実現できるような社員を育成する、育成力も大切な要素になります。
理念経営や経営理念の成功事例
ソフトバンクグループ株式会社
実際に理念経営や経営理念を成功させた事例を確認しましょう。たとえばインターネット事業を手掛けるソフトバンクグループ株式会社も、明確な経営理念を持っています。ソフトバンクは「情報革命で人々を幸せに」という経営理念を打ち出し、それを実現するために様々な取り組みを行ったのです。
幸せと感動をテーマに世界の人々から最も必要とされる企業グループを目指しました。商品を販売し売上を上げることに対して、「努力って、楽しい」という行動指針を設定しています。
こういった理念経営を進めて、実際に様々な情報革命を起こしました。今後もインターネット事業の世界は発展を続ける業界なだけに、継続して成功事例として確認していきましょう。
パナソニック株式会社
創業者の松下幸之助は日本だけでなく、世界的にも有名な人物です。パナソニックの成功事例では、その創業者の理念を大切にしていることがチェックポイントになります。
松下幸之助が創業時に設定した綱領を元に、現在は「A Better Life,A Better World」という経営理念を掲げています。根幹には「お客様の暮らしに寄り添う家電のDNA」という考えがあり、住宅やビジネス、自動車など様々な領域にパナソニック製品は携わっているのです。
家電を通して顧客の良い暮らしを実現し、さらにそれを高めるために複数の事業に携わる理念経営を決断しました。日本だけでなく、グローバルな分野に携わった成功事例になっています。
株式会社ダスキン
掃除道具のレンタルや代行サービスを行っている株式会社ダスキンも、理念経営の成功事例として注目の企業です。創業者の鈴木清一は「お客様のやさしさ」を基に「祈りの経営」という経営理念が設定されています。
そして理念経営として、取引やフランチャイズを積極的に行って「人に、社会に、喜びのタネまきを」というコンセプトを新たに設定しました。まさにフランチャイズ経営というのは、経営の考え方の中でタネまきのような行為です。
理念経営を推進するために、毎朝全員で経営理念を唱和するのも、一つの特徴となっています。継続した人材確保や育成を行い、能力の高い社員が顧客との信頼関係を築き上げているのも、成功事例として注目すべき点です。
理念経営や経営理念をビジネスに活かそう!
理念経営や経営理念について解説しました。それぞれの企業の持つ理念の実現を目指すことが理念経営であり、社員や顧客の充実につながっていく考え方です。
こういった理念経営は社員の基本的な考えを統一させることにもつながり、自主的に理念を実現させます。継続して結果を出している企業の多くが経営理念をしっかりと設定し、理念経営につなげました。企業を成長するために理念経営や経営理念をビジネスに活かしていきましょう!