ヒューマンスキルの種類や効果的なトレーニング方法を解説!
急激にテクノロジーが進化し、価値観の多様化が進んでいる現代社会において、仕事で活躍するには人間力を高めることが大切です。人間力を高めるためには、良好な対人関係を構築できるヒューマンスキルが、非常に重要視されています。
人間力の高い人に必要なヒューマンスキルを身につけるため、ヒューマンスキルの種類や効果的なトレーニング方法を解説します。
ヒューマンスキルとは?
スキルや知識、経験などのテクニカルスキルがあってもヒューマンスキルが低い人は対人関係が上手くいかず、能力を最大限に発揮することができません。
人間力を高めるために大切なヒューマンスキルの意味やヒューマンスキルと同様にマネジメントに必要なテクニカルスキルやコンセプチュアルスキルコンセプチュアルスキルとの違いを詳しく説明します。
ヒューマンスキルの言葉の意味
ビジネスにおいて業務を遂行していくには、他者や組織との良好な関係性が重要な役割を果たします。そのような良好な対人関係を構築・維持できる能力をヒューマンスキルと呼びます。 言い換えれば対人関係能力、人間力です。
ヒューマンスキルを身につけることは、様々な人間関係を良い方向に導きます。ヒューマンスキルが低い人はなかなか信頼関係を構築できません。そのため、ヒューマンスキルはすべてのビジネスパーソンに必要な能力ですが、特にマネジメントをする立場の人には必須と言えるでしょう。
テクニカルスキルとの違い
マネジメントに求められるスキルにはヒューマンスキルの他にテクニカルスキルがあります。テクニカルスキルは仕事を遂行する上で必要な専門知識や技能のことで、職務遂行能力ともいわれています。
テクニカルスキルには、基本的なパソコンスキルやビジネスマナーなどの汎用的スキルと専門分野に特化した能力・技術・知識などの専門的スキルがあります。
テクニカルスキルが低いと業務の遂行に支障をきたすのでテクニカルスキルは円滑に職務を遂行するために非常に大切な能力です。すべてのマネジメントに必要とされるヒューマンスキルと比較して、経営者層より監督者層に特に必要でしょう。
コンセプチュアルスキルとの違い
経営者などのトップマネジメント層には、組織や事業を体系的に把握し、その本質を見極める概念化能力である「コンセプチュアルスキル」が必要とされます。
ヒューマンスキルはすべてのビジネスパーソンに必要とされる能力、テクニカルスキルは主に監督者層に必要ですが、コンセプチュアルスキルは主に経営者層に特化して必要とされる能力と言えるでしょう。
ヒューマンスキルの重要性
ヒューマンスキルは人間力とも言われ、社会で生き抜くにはすべての人に必要な能力ですが、立場によって様々な重要性があります。それぞれ見ていきましょう。
リーダーやマネージャーの場合
ヒューマンスキルはビジネスの様々なシーンで必要な能力ですが、特にマネジメントに携わる人に重要な能力と言われています。
チームを率いるリーダーやマネージャーは業務を遂行するにあたって、上司、他のリーダーやマネージャー、部下など様々な人とコミュニケーションを取る必要があるでしょう。また、チームで仕事を進める現場では、メンバーの能力や性格を把握することで仕事が効率よく進みます。
それぞれのビジネスシーンに合わせたコミュニケーションを取れるヒューマンスキルは、業務を円滑に進めるには必要不可欠でしょう。
IT人材の場合
IT業界はコミュニケーションがあまり必要でないと思われがちですが、IT業界でもヒューマンスキルは大変重要です。
多種多様なエンジニアやプログラマーが関わって進めていくITの開発の現場で、テクニカルスキルが高くてもヒューマンスキルが低い人は自分の技術を上手く伝えられず、せっかくの能力を発揮できません。
特に開発した技術をクライアントに伝える立場の人は、高いヒューマンスキルを身につけ、プレゼンテーション能力をアップする必要があるでしょう。
ヒューマンスキルが注目される理由
ビジネス環境が目まぐるしく変化し価値観が多様化している現代、ヒューマンスキルの重要性が注目されています。その理由を検証してみましょう。
環境変化に対応するため
現在の日本のビジネス環境は、AIなどのテクノロジーの進化をはじめ、経済のグローバル化、少子高齢化による市場競争の激化など様々な変化が急速に進んでいます。
環境変化にスピーディーに対応するには、様々な意見を引き出しまとめる能力が求められます。ヒューマンスキルを身につけ、高い人間力で多くの人とコミュニケーションを取ることが、マネジメント層には必要でしょう。
企業収益を向上させるため
安定した経営を行うには企業収益を向上させなければなりません。そのためには経営資源の一つである「ヒト」の育成は必要不可欠でしょう。
優秀な人材を育成するには、マネジメント層が部下の意見を聴きアドバイスをするなどコミュニケーションをしっかりとることが大切です。
そのような人材育成の場でも、ヒューマンスキルは活かされます。優秀な人材が育つことにより、企業の生産性が上がり、業績のアップに繋がるでしょう。
柔軟に業務を遂行するため
個性が重視されるようになり、価値観が多様化がしている「ダイバーシティ」と呼ばれる現代社会で柔軟に業務を遂行するには様々な人の話を聴くことが重要です。
コンサルティング業で人から率直な意見を聴くには、信頼関係の構築が必要と言われています。信頼関係の構築には、人の話を聴く傾聴力などのヒューマンスキルをアップさせることが大切でしょう。
ヒューマンスキルの具体的な種類
円滑な対人関係にヒューマンスキルは重要な役割を果たします。しかし、ヒューマンスキルと一言で言っても概念は広く、具体的になにが必要なのかが曖昧です。ヒューマンスキルにはいくつかの種類がありますので具体的な例を紹介します。
種類①コミュニケーション能力
ヒューマンスキルと言ってまず初め思い浮かぶのがコミュニケーション能力でしょう。良好な人間関係や信頼を構築するにはコミュニケーション能力が不可欠です。いくらテクニカルスキルが高くてもヒューマンスキルが低いと信頼を得にくいので、業務の遂行が困難になります。
好ましい対人関係を築くには、他者の話をしっかり聞き、言葉の裏にある本質を読み取る能力が必要です。また、自分の意見や考えを相手に分かり易く伝えることも大切なコミュニケーションの一つです。
コミュニケーションの取り方は以前は対面がほとんどでしたが、最近はメールなど言語でのコミュニケーションが主流になってきました。そのため、言葉選びも重要になるでしょう。
種類②意見を調整する能力
個性や価値観が多様化している現代、一緒に働いているメンバー同士の意見が対立することもあります。そのような時、双方の意見をうまく調整するヒューマンスキルもマネジメント層には重要です。
上司には、双方の主張をヒアリングするとともに、それぞれの言葉の裏にある本質を見抜き、調整する必要があります。そして、そこから最善の解決策を見出す力が求められます。
お互いの意見を尊重する解決策が見いだせた時、部下たちのモチベーションがアップするとともにチームの団結力が深まり、業務が円滑に進むでしょう。
種類③コーチング
ビジネスにおいて会社の上司は、部下に知識や技術などのテクニカルスキルを教えると同時に部下のやる気を引き出さなければなりません。そのためには、部下を目標達成に向けて自発的に行動するように促し、それを見守るコーチングのヒューマンスキルが必要です。
モチベーションが低い部下をマネジメントするためには、部下が自分で考え行動し、達成感が高まるようなコーチングを行うことが大事でしょう。
種類④リーダーシップ
組織のリーダーには、リーダーシップも重要なヒューマンスキルです。組織を牽引していくためには、部下たちに行動を促す指導力や統率力が必要でしょう。
また、定めた目標に向かって部下とともに取り組みチームで成果を挙げていく力、岐路に立たされた時の判断力、ぶれない精神力、部下に信頼される人間力もリーダーには必要不可欠です。
種類⑤ファシリテーション
会議やミーティングをする際、メンバーの発言を促し、多様な意見をまとめて最終的に合意形成をサポートするファシリテーションもヒューマンスキルの能力の一つです。
マネジメントを行う人は会議を円滑に進める進行役を担うことも多くあります。そのため、ファシリテーションの能力も人間力を高めるために必要でしょう。
種類⑥プレゼンテーション
マネジメントを行う人にとって、部下とのコミュニケーションも重要ですが、上司に自分や自分が率いるチームの主張を適切に相手に伝えることや会社の方針を部下に伝えることも重要です。
そのためには、相手に自分の主張をロジカルに分かり易く伝え、理解を深めてもらうプレゼンテーションができるヒューマンスキルが必須でしょう。
種類⑦対外的な交渉力
マネジメント層の仕事には、対外的な交渉が必要なシーンも多くあります。チームで進めているプロジェクトの過程で顧客の要望が変化したりやトラブルに巻き込まれたりすることもあるでしょう。
そのような時に妥協点を見つけたり、こちらの要望を伝えたりする交渉力もヒューマンスキルも人間力を高めるために重要です。
種類⑧ロジカルシンキング
先述のプレゼンテーションやリーダーシップには、物事を結論と根拠に分けて体系的に整理していく論理的な思考、いわゆるロジカルシンキングが必要です。
相手に分かり易く物事を伝えるためには、論理的に話をまとめることが大切です。ロジカルシンキングで物事を考える能力もヒューマンスキルの大事な要素の一つでしょう。
種類⑨向上心
目標を掲げ、その目標に向かって努力し続ける向上心はすべてのビジネスパーソンに必要なヒューマンスキルです。向上心を持つとスキルや知識を磨き続けるため、一人一人の能力が上がり、組織力もアップします。
また、向上心を持つ上司の背中を見ている部下は上司を尊敬し、その組織はまとまるでしょう。人間力を高めるためには常に学び続ける向上心を持ち続けることが大切でしょう。
ヒューマンスキルをアップさせるトレーニング方法
先述のようにいくらテクニカルスキルが高くてもヒューマンスキルが低いと、組織内のコミュニケーションが上手く図れず、信頼関係が構築できないため業務に支障をきたします。
円滑に職務を遂行するためには、ヒューマンスキルをアップし、個々の人間力を高めることが非常に大切です。具体的なヒューマンスキルを習得するトレーニング方法を紹介しますので、活用して下さい。
トレーニング方法①集合研修を活用する
会社内でヒューマンスキルを習得する方法が集合研修で学ぶことです。社内での集合研修では、コミュニケーションを深めることで、社員が向かうべき目標を明確にでき、気持ちを一つにモチベーションをアップできます。
そのため集合研修でのヒューマンスキルのトレーニングは、会社の団結力を高めて組織力を向上させ、企業の業績アップに繋がるでしょう。
トレーニング方法②ゲーミフィケーションを活用する
ゲームとは別の分野でゲームの要素を応用するゲーミフィケーションは、楽しみながらヒューマンスキルをトレーニングする手法として近年、若手育成に活用されています。
ゲーム的な要素は人に行動を起こしやすくさせるメリットがあり、モチベーションが低い若手社員が意欲的に仕事に取り組めるようになり、組織のパフォーマンスが向上するとして今後ますます注目されるでしょう。
トレーニング方法③人事が評価する観点を学ぶ
ヒューマンスキルをトレーニングする難しい点は、対人関係のスキルなので数値での測定が難しいところでしょう。人によって、職種によって鍛える部分は違い、トレーニング方法も千差万別です。
そのような中、社員の評価をする人事担当者の観点から自分のスキルを測定して学ぶことで、自分の不足している部分が補え、ヒューマンスキルをがアップするでしょう。
具体的には、顧客と円滑なコミュニケーションが取れる人、部下の信頼が厚い人、スケジュール調整ができる人、満足度の高い交渉のできる人が人間力の高い人と評価されています。
トレーニング方法④今までの業務を振り返る
毎日の業務遂行の中で、自分が不足しているヒューマンスキルに気付くことは困難です。そのため、思い込みで職務を進めてしまい、後から客観的に測定して修正をしなければならないこともあります。
そのため、業務を遂行する途中で時々グループディスカッションや個人面談をし、振り返りをすることがヒューマンスキルを磨くためには必要でしょう。
トレーニング方法⑤フィードバックから学ぶ
振り返りをするための面談をした後は、改善点や評価を教えてもらい、次につなげるフィードバックをしてもらうことが、重要でしょう。
フィードバックを参考に自分の改善点を見出だしヒューマンスキルをトレーニングすることは、今後の業務を改善していくために必要です。この個々の社員が能動的に仕事に取り組むことが会社の生産性の向上に繋がり、業績がアップするでしょう。
トレーニング方法⑥PDCAサイクルを意識する
会社で職務を遂行する際には計画・実行・評価・改善を繰り返すPDCAサイクルを効果的に回すことが重要とされています。
,ヒューマンスキルの低い人はPDCAサイクルを回すことが苦手です。PDCAサイクルを意識して取り入れながらトレーニングしていくと、人間力を高められるでしょう。
ヒューマンスキルの測定方法
人間関係のスキルであるヒューマンスキルは目に見える形での測定が困難とされてきました。しかし近年、その重要性から、心理学などの分野で様々な測定方法が開発されているので、それらの測定方法を解説します。
測定方法①自己評価や360度評価から判断する
多くの企業でヒューマンスキルの測定方法として採用されているのが、自己評価と360度評価の両方からの判断です。
360度評価は、ビジネスシーンで求められる思考プロセスや行動特性を様々な立場の関係者からの評価を集めて組織心理学の研究をベースに360度漏れのない視点で判断するヒューマンスキル測定の手法になります。
近年、自己評価と客観的な評価である360度評価を組み合わせた測定を研修の際に利用し、ヒューマンスキルのトレーニングに活用している企業が増えています。
測定方法②EQ測定を活用する
ヒューマンスキルを測定する方法として、心や感情の知能指数と呼ばれるEQ測定を採用する企業もあります。EQ測定は250問程度の質問をマークシート形式で答え、それにより感性指数や共感指数を測定し、自己認識力や対人関係力など領域ごとに数値を出します。
ヒューマンスキルの向上が重要視されている昨今、研修プログラムに組み入れたり育成トレーニングの成果判定にEQ測定を活用する企業が増えています。
面接の場面でヒューマンスキルの有無を見極めるポイント
人間力の高い人材がどれだけ存在するかは、その企業の業績を左右します。ヒューマンスキルをトレーニングすることも可能ですが、採用の段階で人間力の高い人材を採用すれば効率が良いでしょう。面接でヒューマンスキルが低い人物かどうか見極めるポイントを解説しますので、採用判断に役立ててください。
面接官の意図を把握しようとしているかどうかをチェックする
ヒューマンスキルの高い人は相手の話を聴きながら相手が何を話したいかの意図を把握し、それに対する質問をすることができます。
自己PRも大切ですが、それ以上に面接官の質問をしっかり聞いてリアクションができ、質問の意図を把握できる人が人間力の高い人材と言えるでしょう。
順序立てた回答ができているかをチェックする
ビジネスにおいて、自分の考えやアイデアを相手が納得するように伝えなければならない場面は多くあります。そのようなシーンでは、ロジカルシンキングで考え話の筋道を立てて説明することが必要不可欠です。
面接の際、面接官の質問に対し順序立てた回答ができるかどうか、自己PRをコンパクトに分かり易く伝えられるかは、ヒューマンスキルが低いかどうかの見極めになるでしょう。
ヒューマンスキルを発揮した実績をチェックする
中途採用の場合、テクニカルスキル以外に前職でのプレゼンテーションやヒューマンスキルを発揮した実績などを質問することにより、リーダーシップやコーチング能力、向上心などのヒューマンスキルをチェックすることができます。
自社がどのようなヒューマンスキルを持った人材を必要としているかを把握し、それに見合った質問をすることで、自社に合った人間力を持つ人材を採用できるでしょう。
リアクションや態度をチェックする
ヒューマンスキルが低い人は、相手の話を聴く傾聴力が低い傾向にあります。傾聴力の低い人は相手が話しているとき、関心がないような態度をとりがちですが、傾聴力の高い人は相手の目をみて適度にあいづちをうつなど、相手が気持ち良いと感じるリアクションを取れます。
人の話をしっかり聞いてリアクションを取れる人は、人から信頼されます。そのため、面接の際にそのような人物を採用すると、その後の会社の取引などに有益な社員となるでしょう。
ヒューマンスキルを鍛えて人間力を高めよう!
AIなどのテクノロジーが急激に進化し価値観が多様化している現代、職務を円滑に進めることのできるコミュニケーション能力やリーダーシップ、向上心などのヒューマンスキルが重要視されています。
ヒューマンスキルを磨くと対人関係を良好に保つことができ、社内外に信頼関係を構築できます。ヒューマンスキルを鍛えて人間力を高め、組織の未来の発展に貢献しましょう。