コンプライアンスが重要な理由とは?目的や企業における違反事例も!

目次
  1. コンプライアンスが重要視される理由や目的を詳しく解説!
  2. コンプライアンスとは?
    1. コンプライアンスの言葉の意味
    2. コンプライアンス違反が起きる原因
    3. コンプライアンス違反を起こすと罰金に科されることがある
  3. コンプライアンスが重要な理由
    1. 企業の不祥事を防ぐため
    2. 企業価値を向上させるため
  4. コンプライアンスの重要性が高まっている背景
    1. 規制緩和の推進
    2. 会社法の整備
    3. 独占禁止法の整備
    4. 公益通報者保護法の整備
    5. コンプライアンスを違反する企業の増加
    6. 海外におけるコーポレートガバナンスの変化
  5. コンプライアンスの目的【従業員の募集や採用】
    1. トラブル防止や適正な採用を行うため
    2. 保険によるセーフティネットを構築するため
  6. コンプライアンスの目的【就労】
    1. 適切な労働条件のため
    2. 健康的に働くため
  7. コンプライアンスの目的【解雇や退職】
    1. 各種規制を守り正しい届出を行うため
    2. 法令ではなく働く人を守るため
  8. コンプライアンス経営で重要となるCSRの項目
    1. CSRとは?
    2. CSRの項目①企業倫理
    3. CSRの項目②コーポレートガバナンスと内部統制
    4. CSRの項目③SDGs(持続可能な開発目標)
  9. コンプライアンス違反への対策
    1. 対策①企業倫理を策定する
    2. 対策②行動規範を策定する
    3. 対策③就業規則や各規程を整備する
    4. 対策④教育の場を提供する
    5. 対策⑤階層別に教育内容を変える
    6. 対策⑥コンプライアンス担当部門を設置する
    7. 対策⑦コンプライアンス委員会を設置する
    8. 対策⑧相談窓口を設置する
    9. 対策⑨コンプライアンスマニュアルの作成と運用を行う
    10. 対策⑩専門家を活用する
  10. コンプライアンス体制のチェック方法
    1. 項目別のモニタリング調査を実施する
    2. コンプライアンス違反が起きた場合は?
  11. 企業におけるコンプライアンスの違反事例
    1. 違反事例①株式会社ライブドア
    2. 違反事例②東洋ゴム工業株式会社
    3. 違反事例③株式会社ベネッセコーポレーション
    4. 違反事例④株式会社電通
  12. 身近に潜むコンプライアンスの違反事例
    1. 違反事例①会社の備品を私物化する
    2. 違反事例②未公開情報を身内に話す
    3. 違反事例③自宅で仕事をするためにデータを持ち出す
    4. 違反事例④会社のパソコンでSNSを利用する
    5. 違反事例⑤上司に内緒で残業する
  13. コンプライアンスの重要性を理解しておこう!

コンプライアンスが重要視される理由や目的を詳しく解説!

企業の不祥事や社員の問題がニュースなどで取り上げられた時、よく耳にするコンプライアンスという言葉。コンプライアンスは法令遵守という意味で捉えている人も少なくありません。実は、コンプライアンスは法令遵守という意味だけではなく、社会のルールやモラルを守るという意味もあります。

本記事では、コンプライアンスの意味や重要性を詳しく解説します。コンプライアンスの目的やコンプライアンス違反への対策方法もまとめているので、参考にしてください。

コンプライアンスとは?

コンプライアンスの言葉の意味

コンプライアンスは、法令遵守という意味で捉えられていることがほとんど。しかし、コンプライアンスはただ法律を守れば良いという訳ではありません。社会で働き、生活していく上で法律を守ることが当たり前のこと。

コンプライアンスとは、法律を守るだけでなく、社会的なルールやモラルを守るという意味も含まれています。会社で働くうえで、ルールやモラルを守ることが重要。社員は、法律だけでなく従業員規則などに記載されたルールにのっとり、働く必要があります。

コンプライアンス違反が起きる原因

コンプライアンス違反は、社員や会社のミスや不注意から起こることが多いです。他にも、顧客とのトラブルや、取引先のクレーム対応に追われている時に起こりやすいコンプライアンス違反。法律の知識が乏しいことが原因で、知らず知らずのうちに違反してしまっていることも。

違反と理解しているにもかかわらず、確信的な違反をする社員もおり、ニュースなどで会社の不祥事として取り上げられていることもあります。

このようなコンプライアンス違反を防ぐためにも、社員全員がコンプライアンスに関する、正しい知識をつけることが重要。会社全体が違反を防ぐための体制を、整える必要があります。

コンプライアンス違反を起こすと罰金に科されることがある

企業がコンプライアンス違反を起こすと、罰金が科せられることがあります。コンプライアンス違反は罰金を払えば終わる問題ではなく、取引先や顧客、株主からの信用を失い、売上が低下することも。売り上げの低下が続けば、社員のリストラや倒産といった、最悪の事態に陥ることも。

コンプライアンス違反の内容によっては、罰金だけでなく、裁判や損害賠償請求される恐れもあります。コンプライアンス違反がニュースになることで、ブラック企業という偏見をを持たれ、優秀な人材の流出や、採用活動に問題が生じます。

一度、コンプライアンス違反を起こした企業は、信用を取り戻すことに時間がかかるということを念頭に置いておきましょう。

コンプライアンスが重要な理由

企業の不祥事を防ぐため

コンプライアンスは、企業の不祥事を防ぐためにも重要。2000年代に入ると、日本では企業の不祥事続き、社会問題にもなりました。不祥事が続いたこともあり、多くの企業がコンプライアンス体制の整備を行いました

コンプライアンスを徹底することで、問題が起きた場合もリスクを最小限に抑えられます。問題が起きたときの、シミュレーションをしておくことで、損失を最小限にできます。

企業価値を向上させるため

コンプライアンスの徹底は、企業価値を向上させる効果も期待できます。具体的な方法として、企業のコンプライアンス体制をホームページ上に公表する方法が挙げられます。社内の体制が徹底していることを公表することで、消費者や取引先から、リスクの少ない会社と理解してもらえます。

また、コンプライアンス体制を整え、労働環境を見直すことで、社員のモチベーションアップにもつながります。社員のモチベーションが向上することで、会社の生産性向上にもなります。

コンプライアンスの重要性が高まっている背景

規制緩和の推進

1980年以降、公的な事業が民営化、規制の緩和や撤廃することで、公的な事業の民間企業への参入を促進されてきました。

規制緩和により、企業間で自由な競争が可能になりました。競争が高まったこともあり、国は企業に対して、国民の安全を確保するために、自己責任体制を確立し、情報公開の徹底を図りました。

企業間の自由競争の中で、企業の責任体制の重要性が明らかとなりました。このようなことがあり、コンプライアンスの重要背が高まりました。

会社法の整備

会社法では、資本金5億以上もしくは、負債総額が200万円を超える会社に、コンプライアンス体制に近い考えの構築を義務付けています

会社法の条件に当てはまらない会社には、コンプライアンス体制の構築は義務付けられていませんが、内部統制を強化するためにも、このような体制を導入しても良いでしょう。

独占禁止法の整備

独占禁止法において、企業間で適正価格の調整を行い、入札談合は違反行為です。違反者には、企業に課せられる金銭的不利益の課徴金の算定率が大幅に引き上げられます。違反を繰り返すごとに、算定率は割増されます。

自ら違反を申告した場合は、課徴金を減免する仕組みも導入されています。このように、自己申告にインセンティブを設けることで、法令遵守にもつながります

公益通報者保護法の整備

会社の不祥事や問題が発覚する時、内部からの告発が発端となることがほとんど。通報した社員に解雇されたり、不利益処分を受けないために、施工されたのが公益通報者保護法。この公益通報者保護法の整備も、企業コンプライアンスを徹底することも目的としています。

コンプライアンスを違反する企業の増加

コンプライアンス違反を起こす企業が増加傾向にあることも、コンプライアンスが重要視されている理由のひとつ。一度、違反した企業は、社会的に信頼も失い、経営がうまくいかず、最悪の場合、倒産することも。

違反した企業は、年々増加傾向にあるため、倒産のリスクを防ぐために、コンプライアンスが重要視されています。

海外におけるコーポレートガバナンスの変化

海外では、大手企業の倒産を機にコーポレートガバナンスが重視されるように。2002年7月には、コーポレートガバナンスの革命や情報開示の強化を規定した法律が制定されました。グローバル展開している企業は、社内のコンプライアンスだけでなく、海外の動きに同調することが重要です。

コンプライアンスの目的【従業員の募集や採用】

トラブル防止や適正な採用を行うため

トラブル防止や適切な採用活動を行うことも、コンプライアンスの目的のひとつ。募集や採用において、年齢制限や男女差別を行うと、コンプライアンス違反となります。他にも、採用時に労働条件の提示や賃金などについて、書面で提示することが重要。

社員に定期的に健康診断を受診させたり、安全衛生教育もコンプライアンスの目的となります。社員が公平に働くために、コンプライアンスを徹底することが重要です。

保険によるセーフティネットを構築するため

パートやアルバイトを1人でも雇用している企業の事業主は、一定の条件を満たす場合、労災保険と雇用保険への加入が義務づけられています。コンプライアンスは、これらの労働保険の加入手続きや、保険を通して労働者の生活を守るセーフティネットを構築する目的でも活用されています

コンプライアンスの目的【就労】

適切な労働条件のため

社員にとって、最も身近な問題で企業や経営者とトラブルになりやすい、労働条件。労働時間や賃金、休憩時間や休暇などは労働基準法で定められています。労働基準法で定められた基準を守ることで、経営者は社員を守り、適切な労働条件で社員を雇用できます

健康的に働くため

労働災害への対応、妊娠や出産、介護や高齢者雇用など、企業に求められるコンプライアンスはさまざま。企業や経営者は1つ1つの課題を丁寧にチェックし、改善する必要があるか確認していくことが求められます。これらの問題を改善していくことで、社会的信用の維持にもつながります

コンプライアンスの目的【解雇や退職】

各種規制を守り正しい届出を行うため

社員を解雇する際解雇理由や解雇を予告することが、法律において定められています。また、妊娠や出産や介護や家族の看病などを理由とし、退職の強要や減給は法的に禁止されています。これらの法律を守ることは、労働環境に対するトラブルを防ぐことにつながります。

また、社員が一身上の都合により退社した場合でも、離職に関する手続きや再就職の支援などの届け出を行うことも、コンプライアンスの目的のひとつです。

法令ではなく働く人を守るため

コンプライアンスは、社員や企業が法律を守ることが目的ではなく、法律が企業や社員を守ることが目的とされています。このように働く人を守ることで、企業の信頼を高めることにもつながります。

コンプライアンス経営で重要となるCSRの項目

CSRとは?

コンプライアンスを企業に徹底させるために必要な考え方が、CSR(corporate social responsibility)。CSRは、企業の社会的責任という意味を持ち、企業の社会的責任の対象は、企業に勤める全社員や株主、取引先など、企業に関わる人すべてです

CSRの項目①企業倫理

企業が活動、営業を続けていく上で、守らなければいけない重要な考え方が企業倫理。労働基準法など法律で定められた範囲だけでなく、社員の労働環境なども含まれます。

CSRの項目②コーポレートガバナンスと内部統制

コーポレートガバナンスとは、コンプライアンスを遵守した上で、モニタリングやチェックを行う仕組みを意味します。内部統制は、企業内で組織を統制する仕組みを指します。

コンプライアンスの遵守には、コーポレートガバナンスや内部統制といった、モニタリングを行う仕組み作りが重要です

CSRの項目③SDGs(持続可能な開発目標)

SDGsは、2015年9月に国連サミットで採択された、2015年から2030年の15年間で達成したい17の目標を意味します。SDGsは、地球環境を壊さず、人権が守られる世界を実現することを目標としています。

SDGsは、CSRを達成するための基準のひとつとして考える企業も増えています。SDGsの意味を理解し、責任を果たすことでコンプライアンス遵守につながります。

コンプライアンス違反への対策

対策①企業倫理を策定する

企業倫理とは、企業理念など企業の使命という意味を持ちます。企業が活動を続ける上で、基本となる価値観で自社の役割を、社外に宣言するという捉え方もできます。業務を遂行していく上で、さまざまな問題に立ちはだかり、判断に困ることも。

判断に迷った場合は、企業倫理を振り返り、進んでいこうとしている方向が、会社の進むべき方向から外れていないか、見直すことが重要です。企業倫理が守られていない、守るのが難しいという状態にならないよう、注意しておきましょう。

対策②行動規範を策定する

コンプライアンス違反を防ぐためには、行動規範の策定が重要。具体的な内容としては、人権の尊重や社員の労働環境の整備が挙げられます。行動規範の策定は、自社の経営理念や重要視するポイントを考慮し、取り組みを決定しましょう。

対策③就業規則や各規程を整備する

就業規則や各規程の整備も、コンプライアンス違反の対策になります。コンプライアンスを徹底するためには、労働関係の条件が、社内でルール化されている必要があります

就業規則や給与規定、育児介護休暇規定やセクハラ防止規定などが、労働関係法に基づく規定として挙げられます。これらの規定を整備することで、コンプライアンス違反を未然に防ぎます。

社員に規定について、しっかり伝えるためには、就業規則などを社員に配布したり、いつでもアクセスできる場所に保管しておくことが有効的。社内規定の周知を怠らないようにしましょう。

対策④教育の場を提供する

コンプライアンス違反を未然に防ぐためには、写真全員がコンプライアンスについて正しい知識を得ることが重要。知識をつけるためには、社内で教育の場を提供する必要があります。コンプライアンス教育の場では、コンプライアンスがなぜ必要なのかといった、根本的な部分から学んでいきます

他にも、自社のコンプライアンス体制について、コンプライアンスを違反したときのリスクなど、理解を深めていきます。

自社で研修を行うこともできますが、eラーニングや外部研修を利用することも可能です。自社の業務にかかわる内容の場合、社内でコンプライアンスセミナーなどを実施しても良いでしょう。

対策⑤階層別に教育内容を変える

コンプライアンスは全社員に必要な知識となるため、管理職など経営層にとっても重要。階層別に教育内容を変えることが有効的。

経営層には、コンプライアンス体制の重要性や構築方法を、管理職にはコンプライアンスの対処法、問題が発生したときの解決方法の実践を教育します。一般職に対しては、コンプライアンスの知識全般を教育し、違反のリスクを伝えることが重要。

対策⑥コンプライアンス担当部門を設置する

コンプライアンス担当部門の設置も、コンプライアンス違反の対策として有効的。担当部門は、経営層直下に設置し、問題が発生した場合、瞬時に経営層に報告する必要があります。担当部門の業務として、社内のコンプライアンス状況を確認し、マニュアル改正などを行います。

対策⑦コンプライアンス委員会を設置する

コンプライアンスを推進するために策定や監査的な役割を担う、コンプライアンス委員会の設置も重要。

コンプライアンス違反は、一般職や管理職の社員だけでなく、経営層にも起こりうること。そのため、コンプライアンス委員会は経営トップ層だけで構成せずに、外部の人を加えて構成しましょう。

対策⑧相談窓口を設置する

相談窓口は、コンプライアンス違反を防ぐためにも重要。相談窓口は、コンプライアンスについて社員の疑問や、体制についての意見を気軽に相談できるようにします。また、コンプライアンス違反に関する通報も、経営層にスムーズ行えるような窓口が必要。

社内で相談窓口を設置できない場合は、外部の専門機関に委託しても良いでしょう。違反を未然に防ぐため、コンプライアンスに関する相談窓口の設置は重要です。

対策⑨コンプライアンスマニュアルの作成と運用を行う

コンプライアンス体制を導入すれば、終わりではありません。コンプライアンス体制を形式的なものだけで終わらせないためにも、明確なマニュアル作成が重要。マニュアル作成が完了したら、直ちに全社員に情報共有を行います。

マニュアル作成に必要な項目として、コンプライアンス体制の運用目的や組織の体制、社内規定や違反した際の措置などが挙げられます。その際、違反を未然に防ぐために設置した、相談窓口や委員会の管理方法も明確にする必要があります。

対策⑩専門家を活用する

コンプライアンスに関する専門知識を持つ、公認会計士や弁護士の活用も有効。特に、国内だけでなく海外へ事業を展開考えている企業は、海外の習慣や法律を考える必要があります。海外の法律や習慣を考えるためには、専門家の導入が必須。

専門家の導入は重要ですが、社内のコンプライアンスを外部の専門家任せにならないようにする必要があります。社内のコンプライアンスに対する認識が薄くならないような、仕組み作りを行いましょう。

コンプライアンス体制のチェック方法

項目別のモニタリング調査を実施する

コンプライアンス体制が守られているか、項目別にモニタリング調査を実施することが重要。主なチェック項目として、コンプライアンス委員会や相談窓口の浸透度、理解度や利用頻度などが挙げられます。他にも、コンプライアンス違反を通報した社員の保護や、違反の予兆などがあります。

このモニタリング調査は、社内全体にアンケートを配ったり、インタビューする方法が一般的。しかし、多数の社員を抱える会社にとって、この方法は効率が悪いと言えます。そのため、モニタリング調査は、外部の専門機関に委託しても良いでしょう。

コンプライアンス違反が起きた場合は?

コンプライアンス体制を強化したからといって、違反が起きないわけではありません。コンプライアンス体制を徹底しても、すべての違反を防ぐことは困難。万が一、違反が発覚した場合、迅速に対応しリスクを最小限に抑える必要があります

通報などによって問題が明るみに出る前に発覚した場合、コンプライアンス専門部門の担当者は、事実関係の確認を直ちに行います。また、担当者は問題に対して、誠意のある対応を行う必要があります。

コンプライアンス違反した人に対しては、厳正な処分を下します。また、同じ問題が行らないように再発防止策の徹底をはかります。問題の内容によっては、情報開示を行わなければいけません。

企業におけるコンプライアンスの違反事例

2000年代に入り、多くの企業がコンプライアンス違反を起こしました。次は、企業におけるコンプライアンスの違反事例を紹介します。大きなニュースになった事例をまとめているため、違反事例の内容や対応を確認していきましょう。

違反事例①株式会社ライブドア

インターネット関連事業を手掛けるライブドアは、2009年に粉飾決算を行いました。粉飾決算とは、赤字であるにもかかわらず、数字を故意に操作して、黒字に見せかけること。このような、赤字にもかかわらず、黒字に見せかける粉飾決算は、重大なコンプライアンス違反となります。

2009年の決算時に、ライブドアの経営損失は3億円発生していました。自社株売却益など、売上高の計上が認められていない項目の数値を操作し、53億という大幅な黒字計上を行い、有価証券報告書を提出。

粉飾決算は立派な犯罪行為のひとつ。粉飾決算が問題になり、ライブドアの社長を含め、この事件に関わった3名の役員が逮捕されました

この事件をきっかけに、有価証券報告書の虚偽報告や、インサイダー取引に関しての罰則が強化されました。ライブドアの粉飾決算のように、経営トップがコンプライアンス違反に関わっていることも。経営トップの違反を未然に防ぐためにも、外部の専門機関などを導入し、対策を行うことが重要です。

違反事例②東洋ゴム工業株式会社

2015年には、東洋ゴム工業株式会社が免震ゴム性能を偽装し問題となりました。東洋ゴム工業は、自動車用タイヤを主に販売していますが、建物に利用する免震ゴムも手掛けていました。

東洋ゴム工業は、国土交通省からの認定を得るために、免震ゴムの性能を偽装して書類を提出しました。その後、免震ゴム性能の偽装が判明し、会長や社長が辞任に追い込まれました。一度、性能偽装で処分を受けているにもかかわらず、2017年にも同様の問題を起こしました。

2007年には、断熱パネル耐火性偽装と鉄道車両に用いる防振ゴムにも不正が。さらに2017年には、船舶に用いられるシートリングを、必要な検査回数を行わないまま出荷する不正が発覚。このような不祥事が続き、東洋ゴム工業の社会的信用の毀損は著しいものに。

不祥事が続き、東洋ゴム工業の最終損益は1200億を超える赤字になりました。東洋ゴム工業は、10年以上1人の担当者が管理を行っていました。

後任の担当者も異変に気付きながらも、基準に満たない商品を出荷し続けていました。このような、ずさんな品質管理が、東洋ゴム工業のコンプライアンス違反につながりました

違反事例③株式会社ベネッセコーポレーション

2014年には、通信教育大手のベネッセコーポレーションが大きなコンプライアンス違反を起こしました。ベネッセコーポレーションの利用者が他者からダイレクトメールが多数届くことをきっかけに調査され、顧客情報の漏洩が明確になりました。

ベネッセコーポレーションから情報漏洩した顧客情報は、2000万人を超えます。情報漏洩の可能性があることが分かり、警察や経済産業省に報告を行いました。調査の結果、ベネッセコーポレーションの管理する顧客情報が、不正に外部に持ち出されていることが発覚。

不正に情報を持ち出し、名簿を他社に売却したとして、ベネッセコーポレーションの顧客システムを構築した、グループ会社の社員が逮捕されました。

この違反事例にとよって、担当部門の責任者が2名辞任し、経営トップの会長も辞任に追い込まれました。また、顧客に対しても200億円以上の図書カードを送付し対応を行いました

この事例によって、多くの顧客がベネッセコーポレーションへの信頼をなくしました。顧客離れによって、経営は赤字になり、大きな打撃を受けました。経営方針や情報管理体制の重要さと、経営管理体制の見直しの重要さ実感する事件となりました。

違反事例④株式会社電通

2015年、大手広告代理店の株式会社電通で起きた過労死事件。この過労死事件は、電通に入社したばかりの社員が長時間労働によって追い込まれ、命を落としました。事件後の捜査によると、残業時間は月100時間を超えていたことが判明。

労働基準法違反とし、電通は50万円の罰金が科せられることに。また、電通は過去にも140時間の残業を行う社員が自ら命を落としました。

このような事件があり、2019年から時間外労働時間に上限が定められることに。原則として時間外労働は月に45時間、年間360時間が上限となります。これに違反した場合、6ヶ月以下の懲役または、30万円以下の罰金が科せられます。

身近に潜むコンプライアンスの違反事例

思わぬところで、知らず知らずのうちにコンプライアンス違反を起こしていることも。身近に潜む違反事例をまとめているため、各事例を詳しく確認していきましょう。

違反事例①会社の備品を私物化する

会社によっては、仕事に必要な文房具などの備品を支給しています。会社から支給された備品は、本来社内で仕事を行う際に使うことが目的。自宅に持ち帰り、私的な理由で支給された備品を使用してはいけません

支給された備品だけでなく、会社に設置しているコピー機も同様。会社のコピー機を、個人的に使用してしまっている人も多いのではないでしょうか。会社のコピー機を私的利用することも、コンプライアンス違反となります。

違反事例②未公開情報を身内に話す

業務上知りえた未公開の情報は、家族などの身内であっても決して話しはいけません。未公開情報を身内に漏らすことで、知らず知らず間に多くの人に知れ渡ってしまうことも

自分では、重要な情報でないと思っていても、情報を漏らすことで、会社の損失につながることもあります。未公開情報を漏らすことで、企業に損失が出た場合は、企業から責任を問われることにもなります。

違反事例③自宅で仕事をするためにデータを持ち出す

自宅で仕事をするために、会社のパソコンを自宅に持ち帰る人も多いのではないでしょうか。しかし、会社のパソコンには社外秘のデータや機密情報が入っていることも。これらの情報が入っているにもかかわらず、自宅にデータの入ったパソコンを持ち出すと、最悪の場合、情報漏洩してしまう恐れも。

必要なデータのみをUSBなどに入れて持ち出すことも可能ですが、会社によってはUSBの使用を禁止しています。USBも禁止されているから、メールで自宅のパソコンにデータを転送する方法も、情報漏洩につながります。自宅にパソコンを持ち帰らなければならない場合は、会社の規則に従ってください

違反事例④会社のパソコンでSNSを利用する

会社から支給されたパソコンは、業務でしか使用してはいけません。業務に関係ないことを検索したり、SNSすると情報漏洩のリスクにつながります。何気なくサイトを見てると、知らず知らずのうちに会社のパソコンがウイルスに感染してしまうことも

ウイルスによっては、パソコン内にある企業の機密情報が社外に漏れる恐れがあります。また、SNSで会社の重要なファイルを誤って添付してしまうことも。普段何気なく行うネットサーフィンやSNSですが、会社にとっては重大な損失につながるかもしれないということを、覚えておきましょう。

違反事例⑤上司に内緒で残業する

企業によっては、繁忙期などは定時内に仕事が終わらず、残業をしなければならないことも。仕事が間に合わないからといって、上司に内緒で残業するのはコンプライアンス違反。企業は、残業した社員に対して、必ず賃金を支払う必要があります。

たとえ、スキルアップをしたいなどといった自主的な理由にしても、無断でサービス残業することは、おすすめできません。必ず上司の承認を得る必要があると考えてください。

コンプライアンスの重要性を理解しておこう!

コンプライアンスの重要性について、詳しく解説しました。コンプライアンス違反すると、企業の信頼を失い、大きな損失につながります。コンプライアンス体制を強化することで、企業の不祥事を防ぎ、企業価値を向上させる効果も期待できます。会社に大きな損失を与えないためにも、体制を強化し、コンプライアンスの重要性を理解しておきましょう。

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目次
  1. コンプライアンスが重要視される理由や目的を詳しく解説!
  2. コンプライアンスとは?
    1. コンプライアンスの言葉の意味
    2. コンプライアンス違反が起きる原因
    3. コンプライアンス違反を起こすと罰金に科されることがある
  3. コンプライアンスが重要な理由
    1. 企業の不祥事を防ぐため
    2. 企業価値を向上させるため
  4. コンプライアンスの重要性が高まっている背景
    1. 規制緩和の推進
    2. 会社法の整備
    3. 独占禁止法の整備
    4. 公益通報者保護法の整備
    5. コンプライアンスを違反する企業の増加
    6. 海外におけるコーポレートガバナンスの変化
  5. コンプライアンスの目的【従業員の募集や採用】
    1. トラブル防止や適正な採用を行うため
    2. 保険によるセーフティネットを構築するため
  6. コンプライアンスの目的【就労】
    1. 適切な労働条件のため
    2. 健康的に働くため
  7. コンプライアンスの目的【解雇や退職】
    1. 各種規制を守り正しい届出を行うため
    2. 法令ではなく働く人を守るため
  8. コンプライアンス経営で重要となるCSRの項目
    1. CSRとは?
    2. CSRの項目①企業倫理
    3. CSRの項目②コーポレートガバナンスと内部統制
    4. CSRの項目③SDGs(持続可能な開発目標)
  9. コンプライアンス違反への対策
    1. 対策①企業倫理を策定する
    2. 対策②行動規範を策定する
    3. 対策③就業規則や各規程を整備する
    4. 対策④教育の場を提供する
    5. 対策⑤階層別に教育内容を変える
    6. 対策⑥コンプライアンス担当部門を設置する
    7. 対策⑦コンプライアンス委員会を設置する
    8. 対策⑧相談窓口を設置する
    9. 対策⑨コンプライアンスマニュアルの作成と運用を行う
    10. 対策⑩専門家を活用する
  10. コンプライアンス体制のチェック方法
    1. 項目別のモニタリング調査を実施する
    2. コンプライアンス違反が起きた場合は?
  11. 企業におけるコンプライアンスの違反事例
    1. 違反事例①株式会社ライブドア
    2. 違反事例②東洋ゴム工業株式会社
    3. 違反事例③株式会社ベネッセコーポレーション
    4. 違反事例④株式会社電通
  12. 身近に潜むコンプライアンスの違反事例
    1. 違反事例①会社の備品を私物化する
    2. 違反事例②未公開情報を身内に話す
    3. 違反事例③自宅で仕事をするためにデータを持ち出す
    4. 違反事例④会社のパソコンでSNSを利用する
    5. 違反事例⑤上司に内緒で残業する
  13. コンプライアンスの重要性を理解しておこう!