4Cと4Pをマーケティングに活用したい!
普段からマーケティングに関わっている人ならば、4Cと4Pについて聞いたことがあるでしょう。この手法は古典的なマーケティングの考え方です。
現在でもビジネスシーンにおいて、フレームワークとして幅広く活用されています。そこで今回は、マーケティングにおける4Cと4Pの考え方や活用方法、4Cと4Pのマーケティング事例について紹介します。
マーケティング用語「4C」の意味と考え方
まずは、マーケティング用語「4C」について紹介します。相手の視点に立って商売をすることは基本中の基本ですよ。
4Cとは買い手側から見たマーケティング戦略のこと
4Cとは、買い手側から見たマーケティング戦略のことです。4Cは4P分析の考え方が定着した約30年後にマーケティング理論として大学教授のロバート・ローターボーンによって提唱されました。
4Cは「顧客価値(Customer Value)」「経費(Cost)」「顧客利便性(Convenience)」「コミュニケーション(Communication)」の4つの英単語の頭文字を取ったものであり、「顧客側」の視点をメインに考えるマーケティングです。次に、この4つの考え方について具体的に説明します。
4Cの考え方①顧客価値(Customer Value)
4Cの考え方として、まずは顧客価値を意識しましょう。マーケティングにおける「顧客価値」とは、企業が顧客に提供する製品(サービスを含む)に対して顧客が認める価値のことを指します。
商品・サービスの性能や品質だけではなく、デザインやブランドイメージなど、顧客にもたらすあらゆる価値を考慮する必要があります。
4Cの考え方②経費(Cost)
マーケティング戦略において、買い手が商品・サービスの価値を得るための費用を考慮する必要があります。具体的には「顧客がその商品を購入するまでいくらかかるのか」「移動時間はどの程度かかるのか」「どれくらいの経費(コスト)だと妥当なのか」という考え方です。
企業が設定した商品価格が顧客に対してどのような影響を与えるか、などの総合的な検討が必要でしょう。
4Cの考え方③顧客利便性(Convenience)
顧客の利便性を優先させた考え方を持ちましょう。具体的には「商品・サービスの入手方法は適切か」「店舗へのアクセスはしやすいか」「ネットショップでの決済方法は適切か」などが挙げられます。
どのような販売方法を選択すれば商品・サービスの購入に繋がりやすいのか、徹底的に顧客目線で検討する必要があります。
4Cの考え方④コミュニケーション(Communication)
マーケティング戦略として、顧客とのコミュニケーションも重要な要素です。どのような方法で買い手との接点を持って、良好な関係性を築くのかを分析します。
買い手と接点を持つ方法は、イベントなどを企画したり、SNSを使ってアプローチするのも良いでしょう。顧客視点を意識して、相談や質問のしやすい関係性を構築することがポイントです。
マーケティング用語「4P」の意味と考え方
次に、古くからマーケティング戦略として有名なマーケティング用語「4P」のについて紹介します。
4Pとは売り手側から見たマーケティング戦略のこと
4Pとは、売り手側から見たマーケティング戦略のことであり、1960年にアメリカの学者であるエドモンド・マッカーシーが提唱したマーケティング理論です。この4Pとは、4つのPからなる英単語の頭文字を集めたものです。その4つの英単語とは「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「販促(Promotion)」を指します。
より具体的に説明すると「どの製品を、どのような価格で、どのような流通経路で、どのように販促していくか」ということを「企業側」「売り手側」の視点から考えることです。
4Pの考え方①製品(Product)
マーケティングの4Pの要素の一つ目は製品(Product)です。具体的には「買い手のニーズを商品で満たすためにどのような性能や機能、デザインなどにするのか」ということであり、パターンや機能の違いなど、さまざまな商品・サービスの展開が考えられます。
Product(製品)は、顧客のニーズをとらえ、提供する商品・サービスが価値のあるものになっているかを確認しましょう。
4Pの考え方②価格(Price)
マーケティングの4Pの要素の二つ目は、価格(Price)です。実際に製品やサービスを作ったら、値段設定を考えることは重要です。
価格を決める際にポイントとなるのは、企業側が設定する価格に伴う製品の機能との兼ね合いを考慮すること。商品を開発した際の原価ありきの価格を設定する必要があることも覚えておきましょう。
4Pの考え方③流通(Place)
マーケティングの4Pの要素の三つ目は、流通(Place)です。具体例には「商品をどの場所で売るのか」「商品の在庫はどうするか」など、流通経路を含む商品を販売する手段を考えます。
現代の時代背景に沿うならば、インターネットショップのみの販売にして経費を抑えるといった工夫が考えられるでしょう。Place(流通)は、顧客にとっての利便性を追求することが重要です。
4Pの考え方④販促(Promotion)
マーケティングの4Pの最後の要素は、販促(Promotion)です。これは「商品を買い手にどのように知ってもらうか」という手段を考えます。例えば、ちらし広告ややテレビCMから、サイト、SNSを使ってプロモーションする方法があるでしょう。
どのようなターゲット層に向けてどのような手段が効果的なのかを考えて、まずはユーザーに商品を認知してもらう手段を選択しましょう。
4Cと4P以外のマーケティング理論
続いて、4C分析に関連する3C分析と5C分析というマーケティング理論について見ていきましょう。
3C分析
3C分析とは、マーケティング環境を分析するためのフレームワークであり、「Customer(市場や顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」の3つの頭文字を取ったものです。このフレームワークを使用することによって、マーケティング環境を抜け漏れなく把握できます。
この3Cに「Co-Operator(協力者)」をプラスする「4C」という概念も存在します。このようにして、4C分析とは4P分析から派生して生まれたものと、3C分析に要素がプラスされて生まれたものの2種類が存在することを理解しておきましょう。
5C分析
5C分析とは、マーケティングで用いられる分析手法であり、5C分析の「5C」は「Company(消費者)、Consumer(競合)、Competitor(中間顧客)、Customer(顧客)、Community(地域)」の頭文字を取ったものです。
この分析手法を用いることで、KFS(重要成功要因)というビジネスを成功に導いてくれる要因を把握することができます。4C分析との要素の違いについて知っておきましょう。
マーケティングにおける4Cの活用方法
4Cの概要はつかめたものの「自社のマーケティング活動にどう活用していくのか」というイメージがつかめていない担当者も多いでしょう。ここでは、マーケティングにおける4Cの活用方法について紹介します。
活用方法①新商品やサービスの開発に活用する
4C分析は新商品やサービスの開発に活用できるフレームワークです。組織内で新しい商品・サービスの企画をしたら4C分析を活用しましょう。
効果的に使用することで、4Cのそれぞれの要素が買い手にどのような影響を与えるのかを客観的に分析できます。この時のポイントは、担当者の主観を入れずに、買い手の視点から検証することです。
活用方法②既存商品や既存サービスに活用する
4C分析は既存商品・サービスの見直しにも活用できます。通常、会社が取り扱う既存の商品・サービスは、ビジネス環境の変化や時間の経過によって、買い手のニーズとかけ離れてしまうことがあります。
そのため、定期的に4C分析を行って、既存の自社製品・サービスを見直し・改善を行う必要があるのです。特に、売り上げが下がっている商品・サービスの分析に活用することをおすすめします。
活用方法③競合他社の分析に活用する
マーケティングにおける4Cの活用方法として、競合他社の分析も挙げられます。自社の商品・サービスにいくら魅力があったとしても、競合他社も同等のものやより良いものを取り扱っていた場合は、競合他社よりも優位になるためにも施策が必要です。
そのため、他社に打ち勝つためのマーケティング戦略を練り上げるために4C分析を活用します。競合他社は現在どのような状況にあるのかを詳しく分析しましょう。
マーケティングにおける4Pの活用方法
続いて、マーケティングにおける4Pの活用方法について紹介します。
活用方法①矛盾点を解消する
マーケティングにおける4Pの活用方法の一つ目は、矛盾点を解消することです。4Pの間に整合性がない場合、マーケティングは失敗します。具体例として、高級和菓子屋さんのマーケティングミックスについて考えてみましょう。
高品質・高価格の和菓子をスーパーで売った場合を考えます。スーパーに来る買い手は「低価格のものが手に入れたい」と思っているのですから、この組み合わせだと4Pの流通(Place)の部分の他の要素の整合性がとれていないことがわかります。このようにして、4Pの要素間で整合性が取れているかを確認しましょう。
活用方法②バランスがとれているかを確認する
マーケティングにおける4Pの活用方法の二つ目は、バランスが取れているかを確認することです。4Pのバランスがとれていない場合とはどのような状況でしょうか。
例えば、低価格で利益率の低い商品を大々的にマス広告で展開したらどうなるでしょうか。通常、高価格の方が広告費用の確保が簡単であり、ほかの商品と差別化に繋がります。よって、この組み合わせでマーケティングを行っても失敗する確率が高いのです。4Pの要素の整合性とバランスを取れるようにしましょう。
活用方法③相乗効果を実現する
マーケティングにおける4Pの活用方法の三つ目は、相乗効果を実現することです。4P内の矛盾の解消と調和を実現したら、相乗効果も狙いましょう。
例えば、印象的なCMで有名なライザップは、「結果にコミットする」という強気のプロモーションと「トレーナーによる徹底的な指導と管理」という製品が相乗効果となり、確実にダイエット結果を期待する人の心を掴みました。
これまで説明してきた「矛盾解消」「バランス調整」「相乗効果」マーケティングの活用の流れを理解しておきましょう。
4Cと4Pのマーケティング事例
最後に、4Cと4Pをうまく活用したマーケティング事例を4つ紹介していきます。
マーケティング事例①スターバックス
4Cと4Pのマーケティング事例の一つ目は、1971年にアメリカ合衆国のワシントン州シアトルで開業した世界規模で展開するコーヒーチェーン店の「スターバックス」です。値段は高く設定されていますが、世界的にもファンが多いことで知られています。
そんなスターバックスは、4Pの中の製品(Product)に注目して、単にコーヒーを提供するのではなく「サード・プレイス」という顧客価値を提供するようにしました。
「サード・プレイス」とは「家でもなく会社でもない、第3の場所」と定義されており、お客様が友人や恋人と会話をしたり、考え事をするなど快適に過ごすことできる場所を提供することを意味します。このような製品価値があるからこそ、口コミや店舗看板などを通してお客様が集まってくるのです。
マーケティング事例②ドモホルンリンクル
4Cと4Pのマーケティング事例の二つ目は、株式会社再春館製薬所が製造・販売する基礎化粧品および医薬部外品である「ドモホルンリンクル」です。製品のターゲットは、年齢を重ねて肌の悩みを抱える女性です。
基本セットが1ヶ月で約36,000円と高額ながらも、コールセンターのオペレーターの応対品質が良いと評判であり、お客様一人ひとりの肌悩みに徹底的に寄り添った対応をしてくれます。その結果、リピート客が多く、リピート販売によって収益を確立しています。
マーケティング事例③ライフネット生命保険株式会社
4Cと4Pのマーケティング事例の三つ目は、日本の生命保険会社の大手である「ライフネット生命保険株式会社」です。同社は20代から30代という若い世代のための生命保険を販売しており、医療保障が1,000円台など徹底的に料金を低く設定しているところが特徴といえます。
この理由は、プロモーション(Promotion)や 流通(Place)をインターネットに限定しているため、人件費や店舗費がかからないためです。
マーケティング事例④株式会社Mr.CHEESECAKE
4Cと4Pのマーケティング事例の四つ目は、チーズケーキを販売するオンラインショップ「Mr. CHEESECAKE」です。Mr. CHEESECAKEは「人生最高のチーズケーキ」というキャッチフレーズや数量限定という限定販売によるプレミア感によって、商品のブランド価値を高めています。
集客の方法は基本的にSNSの口コミを通じて行っているところも特徴の一つです。
4Cと4Pはマーケティング戦略に欠かせない理論!
ここまで、マーケティングにおける4Cと4Pの考え方や活用方法、具体的なマーケティング事例について紹介してきました。4Cと4Pはマーケティングを効率良く考えるためには最適なフレームワークです。
ただし、競合他社や顧客は常に変化しているので、一度4P・4C分析を行ってマーケティング戦略を立てたからといって安心してはいけません。何度もPDCAを回していくことが大切ですよ。